何故MNPではメールアドレスや長期利用割引期間を引き継げないのか

この記事はみどウィル支に投稿した記事の再掲載です。

10月24日からケータイの番号がそのままでキャリアを変えられるMNP(モバイルナンバーポータビリティ)が開始されます。
転出できるキャリアは「ドコモ」「KDDI」「ソフトバンク」の3キャリアであるのに、転入先のブランドはドコモは「moba」と「FOAM」、KDDIは「au」のみ、ソフトバンクは「3G」のみと多少の制限があるものの、「番号」がそのままでキャリア変更できるというメリットに魅力を感じている人は少なくないと思います。

しかし今一度冷静になって考えてみましょう。
そのままなのは「番号」のみ、メールアドレスや長期利用割引期間は当然引き継げません。人によってはそのことに不満を感じる人も多いことでしょう。
「キャリアが変わるので当たり前」と言ってしまえばそれまでですが、何故メールアドレスや長期利用割引期間は引き継げないのでしょうか?

メールアドレスがそのまま移行できるサービスの実現可能性はかなり低い思われます。
というのもメールアドレスはドメイン毎に管理されており、MNPのように移行するということがまずできないからです。
例えばドコモの場合、@マークの後ろ部分「docomo.ne.jp」がドメインになります。このドメインは登録している会社の管理下にあり、ユーザーがキャリアを変更したからと他の会社に使わせる、ということができないのです。

ただ技術的にのみ言えば、旧メールアドレスへのメールを新メールアドレスに転送したり、あるいは新メールアドレスを教えるような返信をする、ということは可能です。もちろんキャリアがそれを実行すればの話です。
しかしキャリアがそれを実行することはまずないでしょう、メリットがないからです。
メール転送は技術的には可能でも自キャリアへのメリットはありません。自キャリアから流出することを促がすことはあっても、自キャリアに留める効果はありませんから。

これはMNP利用時の転出手数料が有料で、MNP利用時の転入手数料が無料なことと似ています。
自キャリアからの流出を促がしたくないので転出時には手数料をしっかり徴収する、でも転入時には敷居を低くしたいから手数料は無料にする。
同じ理由でメール転送はキャリア的なメリットがない為に導入する可能性は極めて低い、と言えるのです。

では長期利用割引期間の引継ぎについてはどうでしょうか?
これについても現状可能性は低いと言えます。
長期利用割引期間を他キャリアから引き継げばMNP利用時の大きなアピールポイントになります。しかし同時に大きなリスクも背負うことになりかねません。
これは長期利用割引というもの自体が自キャリアを長く使っている人に対する割引という意味合いがあるからです。
もし他キャリアでの利用期間を引継げば、いきなり割引状態での契約になる為に利益回収が少なくなる可能性があります。そこまで携帯キャリアは寛容ではないのです。
また引継ぎをおこなわなければ、自キャリアからの流出に対する多少の足かせとすることが可能です。つまり「キャリア変更しなければ長期割引で得をする」という部分です。
それらを考慮すると、長期利用割引期間の引継ぎが実現する可能性は極めて低いと言えます。

ただウィルコムのPHS移行キャンペーンのような例もあります。これは他社PHSの利用期間を引き継いでウィルコムPHSに移行できる、というものです。
しかしこれはPHSから携帯への流出を防ぐ目的、そして何よりPHS利用者の利便性の為にウィルコムが取った英断であると言えます。
そのことを考えると、今後何らかの理由で長期利用割引期間を引き継ぐキャリアが出る可能性は0ではない、とだけ付け加えておきます。

以上のような理由もあり、MNPでキャリアをまたいで移行できるモノは電話番号のみとなっています。
一昔前であれば問題がなく受け入れられたであろうMNPも、メールなどが一般的になった今となっては物足りなく感じる人も多い方策であるとも言えるでしょう。
その辺りをしっかり理解し、MNPを利用するかどうかを考える必要があると思います。


ちなみに、ケータイ内のデータについてはPCと専用ソフトなどを利用することで移行できます。
データバックアップなどもサポートしているソフトがほとんどですので、ケータイに大事なデータが入っている人は利用して見ることをお奨めします。
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