米産牛肉輸入再開…それって本当に安全?

米産牛肉、輸入再開12日に決定 クリスマス前後店頭に(asahi.com暮らし12/7)

アメリカで狂牛病感染牛が発見されて以来長らく輸入禁止になっていた米国産牛肉ですが、12月12日にも輸入再開されることとなりました。
しかしながら本当に安全なのか? という不安の声はまだまだ高く、心配に思っている人も少なくないと思います。

本当に米産牛肉は安全なのでしょうか?

米産牛肉が安全かどうかを考えるには、まずは狂牛病について知らねばなりません。

狂牛病は「牛海綿状脳症」の俗称です。
潜伏期間は2~8年と言れており、発症する牛のほとんどは3歳以上だそうです。
狂牛病の原因は、異常プリオンと呼ばれるタンパク質です。経口摂取によって多種にも容易に感染することが知られています。
狂牛病が発病すると脳に穴が空きスポンジ状になり、「立てなくなる」「歩行が困難になる」「奇声を発する」「その場をくるくる回る」といった異常行動をとるようになる、おそらく神経系に異常をきたしているのだと思われます。
発病より二週間から六カ月で死に至り治療法は現在まで見つかっていません。

狂牛病の最も特徴的な点は、その病原体が「異常プリオン」と呼ばれるタンパク質であることです。
普通病気と言えば、ウィルスや細菌に感染して起こることが多いものです。
インフルエンザやエイズなどはウィルス性の病気ですし、結核や水虫などは細菌によって引き起こされる病気です。
それ以外にも生活習慣や遺伝や加齢が故に発する病気もあるのですが、狂牛病のような病気はあまり例がありません。

例えば今騒がれている鳥インフルエンザ、実際に鳥インフルエンザに感染した鶏肉を食べても鳥インフルエンザに感染する事はありません。
加熱処理すればウィルスが死滅しますし、また生で食べても胃酸によってウィルスが死んでしまうからです。
でもこの狂牛病、感染している牛肉を十分に加熱しても病原体となる異常プリオンは壊れず、また極少量の摂取でも十分に感染するという特徴をもっています。

これが俗に言う「肉骨粉」云々という問題にもつながってきます。
肉骨粉とは、牛の骨や解体時に余った肉などを処理して粉状にしたモノですが、肉骨粉に処理しても異常プリオンは分解されなかったのです。
それどころか異常プリオンはそのまま身体に取り込まれ、さらに周りのタンパク質も異常プリオンに変えてしまう、というタンパク質でありながらウィルス的な振る舞いもしてしまうのです。
その結果肉骨粉を与えた牛が発病し、さらにその感染牛を食べた人間が変異型ヤコブ病(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)を発生してしまったのです。
変異型ヤコブ病を発症すると、「行動異常」「性格変化」「痴呆」「視覚異常」「歩行障害」など神経に異常が現れ、半年ほどで自ら動く事はできなくなります。

では私達は何を気をつければ良いのでしょうか?
一番安全なのは、異常プリオンに感染した牛を全て殺処分し市場に出回らないようにすることです。

従来は血液には存在しないとも言われてきた異常プリオンですが、血液から異常プリオンの検査をする研究がされているということは、当然血液中にも微量の異常プリオンがあると考えた方が自然です。
また、異常プリオンを摂取して腸からいきなり脳に異常プリオンが跳ぶ事もありえないので、実際には血液中など異常プリオンが微量に存在し、特に脳や脊椎などで異常プリオンが増えやすい、という認識の方が正しいと思えます。

とするならば、肉の部位を選ぶことは異常プリオンの摂取を抑えるかどうかには役立つが、その肉が感染している場合には感染リスクが残る、と言うことができるのではないでしょうか?

つまりは、全頭検査していないアメリカの牛肉は必ずしも安全とは言えないのです。
加えて、感染していても検査に現れにくい(=感染していても異常プリオンがあまり増殖していない)20ヶ月未満の若い個体の牛を選んで安全、ということにも疑問が残ります。
それは仮に感染していても異常プリオンの量が少ない牛だから若い分だけ安心ということであり、異常プリオンに感染していないということとは異なるのです。

このように考える時、米産牛肉を食べる事にはリスクが0とは言い難いとしか思えないのです。

大手牛丼チェーンの中で、吉野家だけが米産牛肉を使用する事を決めています。他の大手チェーンでは安全が確認されるまで様子見、といった状況です。

感染牛を食べたからとすぐに死に至ることはありません。
しかし感染牛を食べたなら、それは間違いなく数年後に神経に異常を発します。
もし貴方が食の安全を考えるならば、牛肉についてもよく考えることをお奨めします。

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