八戸の路線バス運賃上限設定実験に効果アリ、次の一手は?

バス運賃の上限設定で利用者増(Web東奥11/22)
上限化運賃でさらに利用増へ(八戸鉄道・バス研究会別館ブログ11/22)

八戸八戸圏域定住自立圏内で昨年10月から2年間行われているでバス運賃の上限設定(市内300円、圏域500円)について、今年9月の乗降客数が計31639人(平日全ダイヤ1日分 速報値)で、去年9月から9.2%増加しているそうな。
実験開始直後の昨年11月は9月に比べて6.7%増の計30908人というが、まぁこれは集計する月も違うし目安程度でしかないわけだが、それを含めても実験開始1年後で9.2%増という結果は興味深い。
んで八戸市都市政策課では「値下げ+運賃が分かりやすくなった効果だもん!安心して利用できるもん」と説明しているそうだが、一方では上限設定により運賃が全般的に実質値下げとなったこともあって客単価が減少している事実があり、客数増が減収分をどの程度カバーできるかが課題だそうな。

思うに、たぶんこれは既存のバスユーザーの利用回数が増えたんだと推測するのが正しいんでないかな。今まで片道600円の移動が市内なら半分の300円、ならば今までの2倍バスを利用することもありえるわけだ。学生とか、はつらつ券をまだもらえない人とかね。
もちろん全ての人が同じ金額分だけバスを利用するわけではなく、単に「安くなってラッキー」止まりの人もかなりいると思われる。

では普段バスを利用しない人は、今回の上限運賃設定実験でバスを利用するようになったのだろうか?

 
結論を先に言えば、まずありえない話だ。
データもなく断言するのは乱暴すぎるが、冷静に考えればそれは当然の帰結だ。
その理由は2つ。

バスは社会には必要でも、車ユーザーには必要ではない
バスだけを利用すれば車の維持費よりも安くなるが、車所有でバスを使えば高く付く

この変えがたい理由がある限り、ちょっとやそっとバス運賃が下がったところで、車ユーザーがバスを利用する理由にはならないからだ。

しかし残念ながら、某ケータイキャリアライクな騙しにも似たバス利用促進CMが存在している。当ブログでも触れたことのある、BeFMの「車の維持費は1日1000円以上、バスは300円、だからバスを使おう」というCMだ。

1000円と300円ではたしかにバスの方が安く見えるだろう。
だが実際にはバスとは言っても行きと帰りがあるために上限は最低600円(2回分)となり、さらに車の維持費1000円以上とバス代600円を比較するためには、車を持たずに移動手段をバスにした場合にしか当てはまらないということになる。
実際に車を所有しているユーザーがバスに乗った場合の比較にはガソリン代とバス代を比較する必要があり、市内ならガソリン代が600円以上、圏域ならばガソリン代1000円以上ならバスの方がお得となる。
だから事実上、車を所有するユーザーがバスに乗ることで交通費が安くなることはありえないし、バスに乗れば交通費が安くなると思わせるCMを打つことはけしてバスのためにはならないはずだ。

ではどうすればバスを利用してもらえるようになるだろうか?

そのためには、バスに乗る必要性や機会を作り出さねばならないだろう。

例えば市が中心街に企業を誘致あるいは優遇するような施策をしてみてはどうだろうか。
そうなれば中心街の駐車場を利用して車で通勤する人もいるだろうが、より安価となるバスを利用する人も出てくるだろう。

また市内各地で開かれるイベント時に、バス乗車券をセットにした入場券の類を用意するのも良いかも知れない。

もちろんバスならではのメリットである「飲酒しても利用できる」「交通渋滞が緩和される」「CO2排出が減る」などもアピールしていく必要があるが、いずれにしても既存のバス利用者が増えると思えない以上、車ユーザーがバス利用者にシフトする、あるいは時折使えるように取り組んでいく、つまりは『バス利用者以外に対するバス利用促進の施策』が必要と感じるのだ。

ということで、とりあえず実験の途中結果は成功と思うが、減収分を既存バスユーザーに求めるのは酷というもので、というよりもこのままではさらにバスユーザーが減ることは目に見えているわけなので、まちづくりなども絡めた包括的な次の一手が必要ではないかと思いつつ、おらは首の痛みに耐えかねて打ち込みを終えるのです…orz

脱自動車論~バス活性化のための生活変換の提案~(みどりうかブログ11/13)
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