水力発電をフル活用すれば年2兆円分の電力が出来るらしい

先日「水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる」という本を八戸市立図書館から借りて読みました。

内容をざっくり言えば、日本の既存ダムは治水のために過剰に使われている状態で発電の為には活用されておらず、今あるダムを若干改造してダムの運用を見直すことで2兆円分の電力を生み出せる。
ダムはほぼ破壊不可能かつ永久に利用可能な巨大建造物であり、他の自然エネルギーと違って安定した発電が行え、また発電量の増減も可能である。
天候についても日本は雨量が多く、かつ流れが急である(高低差がある)ため水力発電に適しており、その潜在エネルギーは全くといって活かされていない現実がある。
水力発電による日本再生を実現するためには何が必要なのか? という感じです。かなりおいらの意訳ですが。

個人的にも素人ながら水力は一番可能性があり、かつ現実的で環境負荷も少ないと思っています。
もちろんかつて巨大ダム建設時にはダムのそこに沈んだ村の村民を始めとして多くの人の犠牲があったわけですが…
感情論抜きにして見るならば、原子力のように処理しきれない放射性廃棄物を大量に生産することもなく、火力のように海外に燃料を依存しCO2を排出し続けることもなく、太陽光や風力と違って安定した発電ができるわけですから、安定した国産エネルギーということが出来ます。
安定した国産エネルギーという意味で言えば地熱発電、洋上風力発電、波力発電などの海での発電なども可能性はあるわけですが、これらは今後巨額の建設費が必要であること、また設置した際の自然への影響などで予想しきれない部分があるなど、これからクリアすべき課題がとても多い、という現実があります。
まぁ個人的に思う一番の理由は、位置エネルギーを利用する発電で媒体が水であるため取扱いが容易かつ安全で、位置エネルギーとしてエネルギー保存できるという部分だったりはするんですが…
ともあれ、水力発電は既に建設や保証などの金銭問題がほぼクリアしており(今後掛かるお金は維持管理費と人件費)、建て替えの必要もなく、日本が運良く雨がよく降って位置エネルギーをもらえる地形であることで毎年2兆円の電気がもらえるという、とても美味しい状態にあるのは事実だと思います。

ということだけでわざわざ当ブログで紹介したりはしません。
この本の中で面白いことを言っていたんですよ。
それはですね、人口減少はエネルギー問題、って言ってたことなんですよね。

本の中で、江戸時代には木を使いまくってそのエネルギーで江戸時代繁栄、人口大幅増みたいなことが書いてあったんですよ。
んでその江戸時代末期にははげ山だらけになり行き詰まっていたが、文明開化で木よりもエネルギーの高い石炭を利用するようになって人口更に増える。戦後は石油への転換で人口爆発、でもエネルギー無くなってきたから人口減少、という面白いことを書いてありました。第二次世界大戦もエネルギーのせい、ってね。

んでその辺りの理屈、まったくもってその通りだと、私は思います。

全く別の話になるんですが、水槽ってそうなんですよ。
水槽内の飼育可能数は、環境に加えて餌に依存するんです。餌=エネルギーであり、餌が十分に多ければ飼育可能数が増えることになります。理屈上はね…実際にはろ過能力等の関係もあって崩壊するケースも多いけどね。

まぁ全てがエネルギーのせいってのは行き過ぎかもしれませんが、実際にそういう側面はあるわけですし、水力発電の強化で水力をベース電源とし、更には広域で電気が使えるような送電網を構築できたならば、という考えを持つことが出来、とてもおもしろい本だったと読んでいる時も読み終わってからも思っていました。

気になった方は一度目を通していただければなと、買うよりも図書館で借りようか。

でも実際には難しいんだろうね、偉い人たちは依然として原子力に群がっているわけだし。

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