1月22日にウィルコムの新プランが発表されました。
その内容は従来のプランとはまた違ったユーザー層に向いているもので、これまで以上にユーザーそれぞれの利用状況に適した選択肢が増えた形と受け取れるものです。

でも気になることがあります。
何故新通話パックの無料通話分が2100円なのでしょうか？
実はその価格設定には、なかなか考えられた部分があることが分かってきました。

新料金プランを考える前に、今までの主要プランを再確認しましょう。

グラフは「ウィルコム定額プラン」と「新つなぎ放題」、それぞれ単体と各オプション適用時のモノをパケット上限到達前提とし、通話時間とケータイ代合計として表したモノです。通話は全て固定電話を想定して計算しています。

一見すると新つなぎ放題がウィルコム定額プラン＋オプションよりもお得に見えるわけですが、これには時代的な背景も関わっています。

元々ウィルコム定額プランがまず存在し、その後パケットが定額で利用できる「リアルインターネットプラス」が追加、さらにいわゆるダブル定額となる「データ定額」も加わり、そして通話が少しお得になりつつ実は低パケットユーザーにメリットが大きい「通話パック」の順でオプションが追加されてきました。
つまりウィルコム定額プランのオプションについては、元々整然と住み分けが出来ていたわけです。

しかしそれは、昨年の新つなぎ放題の登場により一変します。
パケット定額制を2年契約のみで実現した「新つなぎ放題」、当初は通話は考慮されていなかったもののユーザーのリクエストに答える形で高い通話料ではあるものの通話可能にし、またオプションの「話し放題」を追加する事でウィルコム定額プランと同様の通話料体制へと変わったわけですが、これが大きな矛盾を生みました。
ユーザーの使い方次第では、データ定額よりも安くなるのです。
さらに話し放題適用ではリアルインターネットプラスより140円安く、リアルインターネットプラスに通話パックを適用して使い切った場合でも新つなぎ放題＋話し放題が70円高いだけ、ある意味新つなぎ放題の存在がパケット定額におけるウィルコム定額プランの存在感を否定してしまったわけです。

では新ウィルコム定額プランを加えるとどのようになるでしょうか。

ゴチャゴチャして見辛いですが、パケットを使わない状態での新ウィルコム定額プランと新通話パック適用が青い実践と長点線、同プランでパケットが上限に達した状態のものがピンクの実践と長点線となります。

まずパケットを使わない状態では、今までも音声通話としては少しメリットがあった通話パックよりも、新通話パックは使うと言う前提で圧倒的なメリットを得ることが出来ます。
前回書いた記事でも伝えたように、毎月確実に1000円以上の通話が発生する人には新通話パックはとてもお得なプランと言えるわけです。

では新ウィルコム定額プランのパケットが上限に達した場合はどうでしょう。
実はこの場合、新通話パックを付けなければ新つなぎ放題の方がお得となり、新通話パックを付けて1890円相当(90分)以上の通話をするならば新料金プランの方がお得と言えます。
言い換えるならば、料金の発生する通話もよくするしパケット定額も必要な人には新料金プランが適していると言うことです。
しかしここで勘違いしてはいけないのは、通話はそれほどではないがパケット定額は必要な人には新つなぎ放題の方がお得という事実です。
これは新ウィルコム定額プランに魅力がない、ではなく、そういうユーザーは最初から新つなぎ放題の方が適しているにすぎません。

つまり「新通話パック」とは、従来のウィルコム定額プランよりも料金の発生する通話に特化したオプションであり、かつ料金の発生する通話をよくする場合でも新つなぎ放題よりもメリットが発生する2100円分の無料通話という設定を施したオプションであると言えるわけです。
もちろんその大前提としてデータ定額を内包したが故のパケットへの適用外があることも忘れてはいけません。
言い換えるなら、新つなぎ放題の登場で新たに発生してしまったユーザー層を補完する目的があるのが「新ウィルコム定額プラン」と「新通話パック」なのです。

以上のように考えると、新プランは全てのユーザーをカバーする存在ではないものの、より細かくユーザーに恩恵を与える為に追加されたものと言えるでしょう。

ネットでは安易に批判したり「新つなぎ放題の方がお得」という判断が多く見受けられます。
しかし新ウィルコム定額プランも新通話パックも所詮は料金プランでしかなく、それをお得に使うかどうかにおいては安易な偏見などは不要であり、冷静に実際の利用状況を考えて判断する必要がある、ということは、今までと何ら変わりがありません。
まずはおかしな先入観を捨てて、ユーザーには本当に自分に適したプランを選んで欲しいと思います。