ウィルコムの音声向け料金プランを考える2

ウィルコムの音声向け料金プランのメインとなる24時間音声定額サービス「ウィルコム定額プラン」、月額2200~2900円という安い基本料金だけで大切な人との通話が好きなだけ楽しめるとあり、特定の相手との通話が多い人への人気は未だ衰えるところを知りません。
またケータイアドレス(○○@△△.pdx.ne.jp)を使ったメールなら送受信全てが無料であることや、固定電話や携帯への通話料が10.5~13.125円と安く設定されていることから、メールメインのユーザーやウィルコム以外の番号への通話をするユーザーにとってもメリットが大きいプランであると言えました。

しかしソフトバンクモバイル「ホワイトプラン」の登場や、auとドコモが打ち出した1年目から基本料金が半額になる基本料割引プランの存在により、ウィルコム定額プランの訴求力は下がり、またそれ以外の音声向け料金プランに至ってはその存在意義すら失われている現状は先日の記事でお伝えしたところです。
その際にホワイトプランや基本料半額でのドコモのタイプSS相当に対抗し得る低廉な音声向け料金プランの提案を行ないましたが、それとは逆の高い基本料金で大きな無料通話分を含む音声向け料金プランを望むユーザーも存在しています。
そのような大きな無料通話分を望むユーザーに対し、ウィルコムはどのような料金プランを用意すべきなのでしょうか

通話パック
適用数
料金無料通話分差額
10501260210
21002520420
31503780630
42005040840
525063001050
630075601260
735088201470
8400100801680
大きな無料通話分を含むプランを作る最も簡単な方法としては、「通話パック(月+1050円、無料通話分1260円)」を複数契約できるように改定する方法が考えられます
この方法は非常にわかりやすく、1260円分の無料通話分では物足りない人は必要なだけ追加できるというメリットがあります。

しかし通話パックの実際の料金と無料通話分の差が1契約辺り210円しかない為に、仮定の新料金プランである「ウィルコム標準プラン」の基本料金1480円分を超えるには通話パックを8契約しなくてはなりません。
これでは割引後の基本料金が3465円となり、無料通話分が基本料金より多くなるドコモのタイプM、auのプランMに対してさえ優位性は生まれないと言っても良いでしょう。

このような現象が発生するのは、高い基本料金プランになるほど無料通話分が増え、かつ通話料も下がっていくという携帯のプランに比べ、後付けで差額分が一律である「通話パック」をそのままの形で適用したことで生まれています。
これを回避する為には「通話パック」の複数契約時には無料通話分をさらに加算するという方法も考えられますが、それをするのであれば新しい「通話パック」を立ち上げた方が早い、という話にもなってきます。

思い返せば、DDIポケット時代から続く音声向け料金プランには無料通話分を含む「スーパーパックS」「スーパーパックL」「スーパーパックLL」といった、ある種携帯の料金プランに近い形の無料通話分を含む料金プランも存在していました。
それを今時分の形とし、通話パック版の「スーパーパックL」などは作れないでしょうか?

そう考えた時に料金の目安となるのは、基本料半額割引適用後のドコモのタイプM、タイプL、タイプLLとauのプランM、プランL、プランLLです。
仮定上のプラン「ウィルコム定額プラン」+「通話パック」で既にドコモ、auのSS、S相当の価格帯は実現できていますので、通話パック版のLもしくはLLがドコモやauのM~LL価格帯及び通話料に引けを取らないレベルを考えてみましょう。

料金無料通話分無料通話
可能時間
通話パック月1050円1260円(1.2倍)63分
通話パックL月3150円4725円(1.5倍)236分
通話パックLL月7350円14700円(2倍)735分

大きな「通話パック」には無料通話分の差額分をさらに拡大する形で、ある程度ドコモやauのプランに近づけてみたのが上の表になります。

まずは「通話パックL」、月の料金が3150円でその5割増しとなる4725円分の無料通話分を含むオプションプランとなります。
「ウィルコム標準プラン」を前提とすると基本料込み月4630円で最大236分の無料通話が可能、「ウィルコム定額プラン」では最大225分の無料通話が可能、ほぼauのプランMの相当のプランとなります。

そして「通話パックLL」、月7350円でその2倍の14700円分の無料通話分を含むオプションプラン
「ウィルコム標準プラン」を前提とすると基本料込み月8830円で最大735分の無料通話が可能、「ウィルコム定額プラン」では最大700分の無料通話が可能、auのプランLL、ドコモのタイプLLに近い数字での提供が可能です。

このようにいろいろと数字を調整した結果、ある程度ドコモやauに見劣りしない数値は導き出せました。
ただこれで良いのでしょうか?
いささか極論ではありますが、数字上明確なお得感を出せないのであれば、やらない方がマシだという考えもできてしまいます。

ということを少しでも考えてしまったので、パックの種類に合わせて通話料も調整して考えてみたのが下の表です。

料金無料通話分無料通話
可能時間
通話料
通話パック月1050円1260円(1.2倍)63分10円/30秒
通話パックL月3150円4725円(1.5倍)315分7.5円/30秒
通話パックLL月6300円12600円(2倍)840分7.5円/30秒

通話料を7.5円と安く仮定した「通話パックL」は料金や無料通話分は変わらないものの、「ウィルコム標準プラン(仮定)」での最大無料通話時間が315分と、1時間19分も長く話せる形になりました。
これはドコモタイプL、auプランLよりも安くかつ長く話せるレベルです。

同じように通話料を7.5円と仮定した「通話パックLL」では、調整の為に料金を6300円とより安く設定したにもかかわらず、無料通話分は840分と1時間45分も長く話せるようになりました。
これはドコモタイプLL、auプランLLよりも安くかつ長く話せる価格設定です。
さらに通話料をタイプLL、プランLLよりも安く設定したことで、もし無料通話分を超えた場合でもウィルコムが最安で通話できるということになります。

以上のように、もしウィルコムが大きな無料通話分を含む料金プランでドコモやauに対抗しようと思うのであれば、以上のような3つの方法が考えられます。
しかしドコモやauと本気で料金的に争う為には、やはり3番目のような施策でもとらない限りは無理なように思われます。

ある意味ではシンプルな料金体系を目指していたであろうウィルコムですが、現状の他キャリアを考えるとこのような追加オプションを用意した上での複雑なプランでなければ対応できないでしょう。
もちろん今回提案したモノは、価格的には難しいものがあるのかも知れません。
しかしより大きな無料通話分を求めるユーザーがいる以上、ウィルコムはそれらのユーザーに対しても何らかの対応を講ずるべきではないかと、そう思わずにはいられない自分がいます。

▼参考リンク▼
ウィルコムの音声向け料金プランを考える1(みどウィル移9/10)

1件のコメント

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    コメントは初めてですが、度々ページを見ていて、すごい知識と熱意だなといつも感心しているところです。私は約一年のウィルコムユーザですが…もうそんなに携帯に興味を持っていませんし、これからはPHS,ウィルコムが主役だと勝手に思っているぐらいです。
    今回、純減に転じて、私も今の料金体系については見直すことが急務だと思っています。そもそも、エアーエッジの料金体系はもう長いこと改定していませんし、ウィルコム定額プラン関連以外の音声料金体系も改定に手をつけていません。上場する話もある中で、ここはすべての料金を精査し直して、また新たなウィルコムを見せて欲しいなと思っています。

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