琵琶湖流域で若いディスカス3匹捕獲される

琵琶湖流域に熱帯魚、生態系破壊の恐れ(nikkansports.com社会ニュース8/23)

琵琶湖と長命寺川で、両氏の外来魚捕獲用の網にディスカスが3匹かかっていたそうな。
捕獲されたディスカスの全長は10~12.4cm、リンク先記事では「観賞用飼育してた個体を何者かが放流」「琵琶湖周辺で越冬や繁殖はできない」などと説明している。

捕獲されたディスカスの全長が10cm強ほどとのことなので、飼育状況にもよりますが生後1年程度の若い固体でないかと思われます。
可能性だけで考えれば密放流後に即捕まったとは限らず、仮に密放流された固体だとしてももっと小さい幼魚の段階で密放流された可能性も否定できないでしょう。
とするとリンク先記事での『飼育固体が放流』ということよりも、「幼魚購入後の早い段階での密放流」「繁殖した幼魚を密放流」などの可能性が考えられ、また可能性だけで言えば「密放流された親魚がいて、その場で繁殖した個体が捕獲された」ということも考えられます。

まずは「幼魚購入後の早い段階での密放流」を考えてみる。
一般的に考えると、ディスカスはあまり初心者受けする魚でもないと思います。ですから今の時流も考えるとホームセンターなどでもあまりおかないタイプの魚と言えます。
とするとディスカスの幼魚を購入する倍にはそれなりの知識や覚悟をもった飼育者が購入するだろうし、そのような飼育者であればとりあえず成長するまでは手放す可能性はまず無いように思える。
そう考えると、購入した幼魚を密放流する可能性は低いと言ってもよいだろう。

では「繁殖した個体を密放流」についてはどうだろう。
熱帯魚などを飼育していると、好きな個体を繁殖させたいと思うものです。
しかしディスカスに限らずですが、生物には個体差が生じるものであり、自分の好みの個体は良くてほんのわずか、ほとんどの場合には自分の好みに一部合う程度の個体しか生まれてはこないのです。
だから繁殖を行なう飼育者は選別を繰り返し何代も掛け合わせたりしながら好みの個体を作出していくわけです。
その仮定では選別もれした個体も当然出てくるわけでして、それらの個体は飼育者の飼育施設等の事情によって飼育されたり譲られたり処分されたりします。
ただ昨今は、知識やノウハウをもっていても最低限のモラル(飼育個体はどんな理由があっても密放流してはならない)を守らない人もけして少なくありません。
これらのことを考えると、今回のディスカス捕獲については一部の心無い飼育者による幼魚の飼育放棄という意味での密放流の可能性は高いのではないでしょうか。
残念ではありますが、今のアクアリストの人種を考えると「アクアリストにそんな人はいない!」などとはとても言えないというのが現実です。

最後に「密放流された親魚がいて、その場で繁殖した個体が捕獲された」可能性。
ディスカスは高水温を好むので冬越する可能性はまずないでしょう。
ただし、何らかの原因で暖かい水が流れ込んでいる場所が存在するならば、越冬する可能性は0ではないようにも思われます。

まぁいずれにしてもディスカスについては飼育者もしくは販売店のいずれかが密放流した個体に起因していることは間違いないでしょう。
誰もが軽い気持ちでアクアリウムを始められる今の時代はある意味幸せなのでしょうが、しかしながら生物の命はけして軽いものではないのだと全ての飼育者に自覚して欲しいものです。

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