このアトラスは逃げた個体? それとも…
町中にアジア最大級のオオカブト
甲府の女性、自宅手すりで捕獲(山梨日日新聞7/16)
リンク先記事に、甲府市の女性(25歳)が自宅で体長9cmのアトラスオオカブトを捕まえたということが載ってはる。
リンク先記事では外来種ということで「飼い主に捨てられたか、逃げ出した可能性も」という書き方をしてアトラスオオカブトの大冒険ちっくな感じを感じさせる微笑ましい記事になってはいるが、書かれてはいない第3の可能性を考えるととてもじゃないが笑っては見られない記事です。
その第3の可能性とは「日本の自然下で繁殖している可能性」です。
未確認の部分もありますが、日本の自然下で外来カブトやクワガタが繁殖している可能性は低くないと言えるでしょう。
その背景にあるものは安易に密放流する自称昆虫好きの存在です。
近頃はあまりにも簡単に外来カブト・クワガタが入手できるようになってしまいました。ホームセンターでも普通に売られている上に、簡単に飼育できると言わんばかりの専用のエサやマットなども並んで家族連れを狙っています。
その結果に購入した一部の人たちは、飼育法を学ぼうともせずに普段の世話を面倒に思い、「自然に放してあげた方が幸せ」と自分の罪を棚上げした上で身勝手な思い込みをして密放流を行なうわけです。
そのような無責任な名ばかりの飼育者の蛮行の結果、河川や湖、池にはウシガエルやアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメが大繁殖し、野山ではアライグマやタイワンリスが勢力を拡大し、地域によってはマングースやらイグアナやらインコやらと様々な外来生物が日本の在来種を脅かす存在にさせられてしまっています。
現在はまだ外来カブト・クワガタは特定外来生物に指定されてはいませんが、無責任な飼育者が密放流をやめない限りは遠くない未来に外来カブトや外来クワガタをペットとして飼育することはできなくなるかも知れません。
事実、カダヤシやカミツキガメ、ウチダザリガニなどペットとして飼育されていた生物も、無責任な飼育者による密放流や無計画な放流の結果特定外来生物に指定され、新たにペットとしての飼育は許可されなくなりました。
ふと考えてみれば、件のリンク先記事のアトラスオオカブトが仮に繁殖している個体でなく逃げた個体であったとしても、それは逃げるような飼育をしている、もしくはわざと逃がすような無責任な飼育者が存在しているということに他なりません。
日本の自然を守る為、また海外から日本の連れてこられた生物の幸せの為にも、飼育者には密放流をしないことと最後まで責任をもって飼育すること、その当たり前の最低限のことを守って欲しいと、切に切に願います。