野生種へのツボカビの感染、国内で初確認

野生カエルで初確認 高率で感染死のツボカビ(Web東奥6/11)
カエルツボカビで全国調査 今夏にも環境省(Web東奥6/11)
国内の野生カエルでもツボカビ菌を確認 蔓延に危惧(PETWALKER 時事ニュース6/11)
ツボカビ症、国内野生種も ウシガエルから確認(asahi.com暮らし一般6/11)

両生類が感染すると90%以上の高確率で死亡させるカエルツボカビ症、それを引き起こすツボカビの感染が日本で初めて野生のカエルで確認されたそうです。
感染が確認されたのは神奈川県内で捕獲されたウシガエル4匹。
また千葉、茨城、埼玉、沖縄の業者が捕獲し飼育していた野生のカエルとイモリなど計38匹からもツボカビ遺伝子を検出、こちらは飼育中の感染の可能性もあるが、野外での感染も否定できないとのことらしい。

ウシガエル(特定外来生物)自体は外来種であり本来日本にいるカエルではないのですが、食用蛙の異名を持つことからもわかるように、かつて食用として移入された後に日本全国に広がっていったという過去があり、現在では日本全国でよく見られるありきたりな野生生物となりました。
またウシガエルはツボカビに感染しても発症しないで死なないという話もあります。

つまり今回の発表は、日本国内の自然下でツボカビの感染が確認されただけでなく、感染しても死なないウシガエルを介しての在来両生類への感染という最悪のシナリオの可能性も示唆しているのだと思います。

とりあえずツボカビに大きく関係しているだろう飼育者は、「両生類飼育者」と「カエルなどをエサとしている生体(肉食魚等)の飼育者」よね。
海外から輸入されたカエルがツボカビに感染していたケースは確認されていますし、海外から安く輸入されている生餌用のカエルがツボカビに感染していたケースも既に確認されています。

致死率90%以上からもわかるように、感染した両生類の多くは発症後死に至りますが、種類によっては発症しないカエルや発症しても死には至らないカエルもいるらしく、また症状が表れない場合もある為に、そのカエルがツボカビ症かどうかを判断するのは観察だけでは難しいようです。
そのことを考えると、できればカエルは種類ごとに分けて飼育した方がよく、感染が疑われる個体を発見したならば早急に隔離する必要があると言えるでしょう。
さらには、新しく購入したカエルは60日程度隔離飼育し、問題がなければ他のカエルと一緒にする、ぐらいの用心は必要です。

またツボカビは単体でも7週間生きのびるという話もあり、両生類を飼育していた水も感染源となる可能性があると理解せねばなりません。
ですから環境への影響を考えるのであれば、両生類を飼育した水を捨てる場合にも消毒(ハイターもしくは沸騰)をする方が良いと言えるでしょう。これは飼育機材にも言えることです。

というのが今までの認識でした。

しかしこれからは屋外で捕獲した両生類であってもツボカビ症の可能性を考え扱わねばならない、という時代になってきているのでしょうね。

他の外来生物問題にも言えることですが、カエルツボカビ症にについても飼育者の責任は0ではないと思います。
今の時代は良い機材があふれていますので、お金さえあれば買うことも飼い始めることも簡単です。
しかし飼育者は飼育生体の命を預かるだけでなく、責任持って飼育を続けなければ他の生体の未来まで奪う可能性を有しているのだと知らねばいけないのだと思います。
今後ツボカビ症が日本の自然にどのような影響を与えるかはわかりませんが、出来ることならば飼育者起因の感染拡大だけは防ぎたいものだと、飼育者の一人として思っております。

▼参考リンク▼
両生類保全研究資料室(仮称)
社団法人 日本獣医学会
ツボカビ症対策解説(PDFファイル)
ツボカビ病Q&A(PDFファイル)
両生類の致死率90%以上! 「カエル・ツボカビ症」日本上陸(ワサワサブログ1/13)
カエル・ツボカビ症は既に日本に上陸している!?(ワサワサブログ1/20)
カエル・ツボカビ病…水辺の生き物を扱う人ならまずは読んで欲しい(みどりうかブログ1/13)
肉食魚飼育者もツボカビには注意が必要です。(みどりうかブログ1/21)
カエル・ツボカビ症で死んだカエルの見分け方(みどりうかブログ2/2)

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