ウィルコム定額プランは高いプランか?

今春、ドコモとauが家族割引と法人割引に音声定額を加える改定を行いました。
追加料金無しで家族グループ内・法人グループ内であれば24時間音声定額になることもあり、またホワイトプランの準音声定額のことも持ち出して「ウィルコム定額プランは高すぎる」という意見が噴出しています。

しかし本当に「ウィルコム定額プラン」は高いプランなのでしょうか?
それ以前にその意見の根拠となる比較は、同じ土俵の上に立った比較対象として正しいものなのでしょうか?

ドコモとauが始めた音声定額は「グループ間音声定額」とでも言うべきものであり、極端な話をすれば内線通話を拡大したようなサービスであると言えます。たしかに「音声定額」は含んでいますが、それはある意味「準音声定額」でしかありません。
しかし「ウィルコム定額プラン」は070で始まる全ての番号への通話と、端末のメールアドレスからであれば全てのメールアドレスへの送受信が無料になる、という完全な「音声定額」と本当の「メール定額」を含んだプランとして存在しています。

「グループ間音声定額」も「ウィルコム定額プラン」も、『音声定額を含む』という意味では同じ音声定額に見えます。
しかし「グループ間音声定額」はあくまで部分的な音声定額である『準音声定額』でしかなく、「ウィルコム定額プラン」のような完全な『音声定額』ではありません。
また「グループ間音声定額」は「メール定額」を含みません。
これほど違っているプランを並べて「ウィルコム定額プランは高すぎる」と一様に考えるのは、果たして正しい比較の結果なのでしょうか?

このようなことはソフトバンクの「ホワイトプラン」との比較についても言えます。
「ホワイトプランは980円で20時間も音声定額、ウィルコム定額プランは24時間音声定額だが2900円もする」と言わんばかりの比較もネットには存在しますが、それは正しくもあり、同時にある事実を見逃しています。
ソフトバンクのホワイトプランは回線に負荷を与えにくい時間帯(=利用者が一番使いたい時間帯以外)を音声定額としており、ウィルコム定額プランでは21時~1時の時間帯に全トラフィックの半分が集中しているとの発表を何度もしています。
とするならば、トラフィックベースではウィルコム定額プランはホワイトプランの2倍の実質的な音声定額サービスを有している、との見方も可能でしょう。
またホワイトプランが「同キャリア内でのメール送受信無料」なのに対し、ウィルコム定額プランは「相手先を選ばない完全なメール定額」であること、さらにはホワイトプランでメールを利用するために必要なネット基本料「S!ベーシックパック」がウィルコム定額プランには必要ない(ネット基本料が存在しない=0円)ことも考えると、実質的な価格差は数百円程度しかないと言えます(もしメールやネットを少量利用すればホワイトプランの方が高くなるでしょう)。

このように考えていく時、「ウィルコム定額プラン」のサービス内容をしっかりと把握さえしていれば、ドコモやauの「グループ間音声定額」やソフトバンクの「ホワイトプラン」よりも高い、という考えは出ないはずです。事実として、ウィルコム定額プランユーザーからは「ウィルコム定額プランよりも安い音声プランはない」という声も聞こえています。

では何が原因で「ウィルコム定額プラン」は高いプランだと思われるようになったのでしょうか?
実はその原因は音声定額そのものではなく、「待ち受けのみのユーザーに向けた低廉なプランかどうかという部分にあります。

現在のウィルコムの音声向け料金プランは、事実上「ウィルコム定額プラン」「トリプルプラン」「安心だフォン」の3種類しか存在しません。これは他キャリアのプランへの対抗できる音声向けプランとしては3種類しか存在していない、ということを意味しています。
この3つのプランに適するユーザー層については、ウィルコムは他キャリアにけして負けてはいないと言えるでしょう。むしろサービス内容的には勝っているとも言えます(安心だフォンの3箇所発信制限さえもある意味では魅力的なサービス内容ですから)。
しかしそれ以外のユーザー層に対しては、ウィルコムは料金プラン的に全く対応できていないという現実があります。
その対応できていないユーザー層とは、通話料が多く発生するような使い方をする大きな無料通話分を必要とするユーザー層と、待ち受けメインで安価な基本料金を望むユーザー層です。

大きな無料通話分を望むユーザーにとって、現状のウィルコムの音声向け料金プランの魅力は皆無と言えます。ウィルコムで最大の無料通話分(10500円分)を含むスーパーパックLLでさえも無料通話分の大きさも事実上の基本料金もドコモやauのLやLLに太刀打ちできていないからです。
また待ち受けがメインのユーザーにとっても現状のウィルコムには魅力はありません。サービス内容を考慮すれば魅力的な価格である「ウィルコム定額プラン」であっても、音声定額やメール定額を必要としないユーザーには無意味であり、それよりは「タイプSSバリュー」「プランSS」「ホワイトプラン」の方が適しているからです。

このように現在のウィルコムの音声向け料金プランには大きく取りこぼしているユーザー層が存在していると言えるわけで、ある意味ではウィルコムの音声向け料金プラン全体に対して「高い」ということは間違ってはいないと言えます。またその背景がある以上は販売店から「ウィルコム定額プラン(しかないのにこの価格帯で販売すること)は高い」と言われることも仕方がないことでしょう。
しかしその辺りを一緒くたにしたユーザーが「ウィルコム定額プランは高い」と安易に思うことは、自ら判断を誤ることにも繋がりかねません。
それはせっかく与えられているユーザーの選択肢を放棄する行為に等しいのだと、ユーザーは気付くべきでしょう。

実際問題として、現在のウィルコムの音声向け料金プランは「音声定額」とメール定額、「通話相手先限定サービス」、そしてウィルコム定額プランのオプションである安価な「パケット定額」を必要とするユーザー以外へは魅力が皆無です。
しかしそれは単にウィルコムのプランに適していないだけであり、そのようなユーザーには他キャリアの方が向いているということになります。当然その逆もありえます。
要は自分に適したプランであるかどうかであり、自分が利用したい音声定額が準音声定額で事足りるのか、あるいは音声定額でなくてはならないのかという点では、結局従来と何も変わってはいないわけです。

昨今は一部キャリアが実質的な料金に適合しない「基本料0円」を謳うような時代です。
今後のケータイ業界は、ますますユーザー自身の正しい知識と判断が求められていくことでしょう。
そのためには先入観や周りの流れを鵜呑みにせずにいられる自分、そのような心構えが重要なのだと私は考えます。

2件のコメント

  • おらにしてみれば「グループ間音声定額」も「ホワイトプラン」も高いプランなのよ

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