条件付特定外来生物を屋外で逃げないように飼うための設備を考える

2023年6月1日から、アカミミガメとアメリカザリガニが条件付特定外来生物に指定されました。

条件付特定外来生物は愛玩飼育(ペット飼育)が可能ですが放流や販売などが禁止となり、違反すると個人の場合は3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります
ここで1つ注意点があります。
放流などの禁止行為についてですが、故意に放流することはもちろん、勝手に逃げてしまった場合でも逃げないような措置を取っていない場合にも違法となる可能性があることです。平たく言えば『逃げないように飼育しろ』ということ。

では実際にはどのように逃げない対策を取れば良いのでしょうか?
屋外で飼育する場合の具体的な設備を考えていきましょう。

■飼育容器
飼育容器は水がもれず、生き物が破壊されない物で、十分な大きさがあればあれば可能です。
例えば水槽、プタスチックや金属のタライ、プラ舟、水が貯められるタイプのプランターなどが容器に適しています。
発泡プラスチックはカメやザリガニが穴を空けて逃げる可能性があるので適しません。
大きさは、最低でも中に入れる生体のサイズよりも容器の最短辺が長いようにします。例えば20cmのアカミミガメなら丸いタライなら直径20cm以上、水槽や角タライやプラ舟なら短い辺が20cm以上が最低限の飼育可能な容器となります。ただし生き物は成長します、アカミミガメは最大30cm、アメリカザリガニは最大15cmになりますので、飼育容器は最短辺がそれ以上のもので、設置可能な出来るだけ大きいサイズのものになるようにすると、生き物が暮らしやすい環境となります。

オススメはプラスチックの角型タライ60Lです。

■脱走対策
生き物は脱走します。人が思いもよらない隙間から脱走します。
ですから網やワイヤーネットなどで上面開放部を覆い、隙間も塞ぐようにします。
特にザリガニはいろんなものをつたって登ります。屋内水槽飼育などしていると、ろ過装置のケーブルやエアレーションのチューブを登って脱走しますので、屋外でも草やゴミなどでも登って脱走する可能性があるので、隙間は出来るだけ塞ぐようにしましょう。

オススメは100円ショップなどで売ってるワイヤーネット、カラスよけネットなどです。

またフタは生き物によってズラされたりしないように、固定しないといけません。
例えばワイヤーネットを被せていただけでカメなどがイタズラしてズラして逃げた場合、刑罰が科される可能性が出てきます。これは脱走を防ぐ対策が不十分だったと判断される可能性が高いためです。
ではどうすればいいか…出来るだけ固定します。
動かなくて良い場所は結束バンドで固定します。100円ショップで売ってるもので十分です。針金や紐、カラビナなども可能です。耐久性があるものを選びましょう。
開閉した方が良い場合には動く程度の余裕を持って固定しましょう。あまり余裕をもたせすぎると隙間から逃げ出す可能性がありますので、ギリ動くぐらいまで締めます。

■もし逃げたらどうなる?
ではもし仮に、知らない誰かがいつの間にか庭の容器を空けて逃したらどうなるでしょう?
その場合はその人自身が敷地内に勝手に入ったことでの不法侵入、ペットを逃したことによる器物損壊、外来生物法違反、動物愛護法違反となる可能性があります。適切に飼育している本人が罪に問われることはないでしょう。
ただし、状況次第ではその証拠を示さないといけない可能性はあります。万全を期すのであれば防犯カメラの設置も検討しましょう。イタズラ防止としてセンサーライトだけでも効果大です。

■池での飼育
アカミミガメとアメリカザリガニを池で飼育することはオススメできません。
脱走の可能性が高いからです。
アカミミガメの場合は池の周りを乗り越えられない柵などで囲い、その上でネットなどで上部を全て覆うことが望ましいです。直接触れる部分はある程度強度がある材質でないと破壊される可能性は否めませんので。
アメリカザリガニの場合も基本対策は同じですが、アカミミガメよりも脱走リスクが高いです。アメリカザリガニ増えやすいため、卵から生まれた小さなザリガニも現れます。
全長数cm程度のザリガニを池の環境で飼育することは、容易に屋外に脱走することに直結しやすいです。
アカミミガメを池で飼う際には徹底した脱走対策が必須となりますし、アメリカザリガニにおいては池での飼育で脱走しないことは不可能に近いので、池での飼育は回避したほうが無難です。

■まとめ
基本的に、生き物が破壊して逃げられない容器を用意し、逃げられないように開放部と隙間を塞ぎ、生き物が自分で逃げられない状態を作れば外来生物法違反を犯すことはないでしょう。
大事なのは「このぐらいで逃げないだろう」と生き物の力を見くびった「だろう飼育」をしないこと、「このぐらいでは逃げるかも知れない」ぐらいの気持ちで撤退した対策を目指す『かもしれない飼育』を行うことで、飼い主も飼われる生き物も幸せに暮らせることと思います。

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