総務省が3キャリアに料金値下げなどを要望したが…

総務省が3キャリアに値下げと販売適正化を“要請” – ケータイ Watch

「スマホの料金安くしろや!」と国民目線のフリして微妙にヘンテコ主張をしてきた総務省のタスクフォースがまとまって、主要3キャリアに要請したそうな。
高市総務大臣は「スマホ安くして端末高くしろってこと公表したもん!キャリアは料金安くして端末代は相応の高い負担を当り前にさせて報告白だもん」って言ったらしい。
んで要請した理由は「電気通信事業法の目的が達成できていない」としていて、ライトユーザーや長期ユーザーの負担が重く、機種変や乗り換えを頻繁にする人が得をするのはおかしい、というある意味当たり前だが…
んでソフトバンクは「1GBプランを出すもん!5000円以下だもん考え中だもん」と言いながら「キャッシュバックはやり過ぎだもん。しないようにするもん、でも他やるならやるもん」みたいなことも言ったらしい。イヤイヤ、過剰キャッシュバック競争はお前らが仕掛けたことじゃんか。
auは「持ち帰って考えるもん」「今は何も言えねー」みたいな感じ。
ドコモは「現状でもユーザーには便利だから今のプランをベースに何とかするもん」とか言っているみたい。

さて、まぁいろいろと思うところはありますが…

まず頻繁に機種変やキャリア変更をするユーザーが得をしているという問題、これってスマホじゃなくもっと昔から存在していた問題ですよね。
実は昔は今よりも遥かに機種変ユーザーが事実上優遇されていて(端末割賦じゃなく一括0円でインセンティブも高額、そのインセンティブの原資は料金に上乗せして捻出)、1つの端末を長く使うタイプの人が多い長期利用ユーザーが特に損していたわけですよ。
にも関わらず、ユーザーからはこんな文句が出てきた。
『長期利用しないと割引してくれないのはおかしい!』
はい、酷いワガママ発言ですね。
つまり長期利用実績が無いけれど先に割引させろと言うわけです。まぁそういうユーザーってたいてい頻繁に機種変しまくって得しまくっている、言い換えれば1つの端末を長く使うようなユーザーに負担を押し付けているユーザーにも関わらず、長期利用ユーザーの特典もこっちに寄こせと言ってきたわけです。
まぁそんなワガママは突っぱねればよかったんですが、キャリアはそういうユーザーに頷いちゃった。
『年間契約』という前提条件ありきでいきなり基本料半額の割引ってのを作っちゃったわけですよね。
そうです、つまり年間契約って元々は、ユーザーの声に応える形で誕生したんですよ。
ただこれもまたズルイ話でして、キャリアの思惑はユーザーとは別にあったんですね。

 
実はこの時代にも総務省はキャリアに文句言っていたんですね、『端末代を不当に安くして料金高くして回収すんなコンチクショー』みたいなことを。
つまり端末代とケータイ料金を分離しろ、といういわゆる「分離プラン」の話です。海外ではアタリマエだから日本でもやれよーってめ。
だからそれに応えるという部分もあっての年間契約でのいきなり半額のプランを投入、代わりに端末代は高くなるけど仕方ないよね、でも分割払いにしてあげるから安心してね、総額は今までと変わらないから、って話ですね。
まとめて言っちゃえば多くのユーザー(主に短期利用ユーザー)に応えながら総務省の要望にも応じた結果を出しながら、どさくさ紛れに長期利用ユーザー特典を廃止した、って話です。

ちょっと脱線。
ただこの分離プラン、2方式ぐらいあるんですよね。
1つはドコモやauがやっていた端末代は高いが料金が安い分離プラン。
もう1つはソフトバンクや当時のウィルコムがやっていた端末代も料金も高いが、割賦支払い期間(24ヶ月)には料金割引をして安く抑える割引適用分離プラン。
まぁどちらも年間契約や2年契約ありきで事実上料金を安くするって話ではありますが、少しだけ条件が違ってきたりします。後者は2年で機種変し続ける方が得する(実際は不要な機種変をする際には得などしていないが)。

本線に戻して、

いちおうの分離プランで端末代と料金を分離したように見せた各キャリアですが、すぐに方向性が変わってきます。
他社を出し抜こうと、本来の分離プランの主旨を覆すような施策を次々打ってきます。
まずは各社が端末代割引を始めます。元の価格を引く場合もあれば、月々の割賦を事実上割引くことをドコモやauも始めちゃいます。対抗してソフトバンクは実質0円を撃ちまくります。
さらにMNPなら他キャリアのユーザーを削れるということに気付いたキャリアは、高額キャッシュバックでユーザーを釣ろうとします。この背景には3Gとスマホは別物と言わんばかりのスマホ向けプランを打ち出し、一度安価になりかけた料金を高く設定しそれしか選べない状況にキャリアがしてしまったことも影響しています。事実上の高額インセンティブ復活(キャッシュバックの原資として高い料金から搾取)です。

この際、3大キャリアはズルイことをしました。
スマホだからデータ通信使うのアタリマエ、とか言いながら、データ通信の定額制をやめてしまったんです。3Gケータイではアタリマエだった通話は使った分だけでもパケットは定額、をやめて、多くの人があまり使わない通話は定額でデータ通信は上限を設けて従量制、にね。

そして時代を逆行するように…というか、スマホって元々高いから安く見せないと売れないし、それよりは月々の料金が高い方がまだ誤魔化しが効くので(方や総額、方や月額ですからね…)、端末代を極端に安くし始めたと、その為にも料金は高くなくっちゃね、ってことで。
さらにそれを誤魔化すかのように、そしてどさくさ紛れにより多くの料金を請求するために、3大キャリアはどんどんとサービスをてんこ盛りにしていきます。使わないサービスまで抱き合わせて契約させちゃうんですよね、「初月は無料ですから」とか言いながら。

それらにより生じたニッチ…3大キャリアのサービスを必要とせず安価に運用したい、などに応えるかのようにMVNOが台頭し始めている、というのが現状に思います。

そういうこれまでのケータイの歴史とそれに至った理由であるユーザーの要望を鑑みるならば、安易にこういう発言をするはずがないと思うのはおいらだけかいな?
ユーザーに必要なのは1GBで5000円以下のプランではなく、音声定額か否かも選べて、高速通信するかどうかも選べるぷらんであるはずなのにね。
それっぽいことを言ってはいるが微妙に落とし所がゆるく的はずれな総務省のこの要望、おそらくはまたソフトバンクがズルイことしようとしてドコモが真似て追従、auがそれよりちょっと安く打ち出し慌ててドコモとソフトバンクが真似っ子、ってなるんじゃないかと心配しております。

▼参考リンク▼
ドコモ、新料金プランを発表、タイプSSバリューが月1050円で無料通話分1050円(追記アリ) – みどりうかブログ

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