八食農園確定気味、烈風激闘編
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2010年3月27日、突然の着信にりうかは旋律を覚えた。
見知らぬ番号、鳴り続けるケータイ、そして口の中のヤキトリ!
全てを見越したかのように着信は続く。
口中に残る肉の感触を邪魔だと感じながらも、りうかはその指で応答という選択を選んだ。
電話先の男はポツリと告げた。
「八食農園、当選いたしました」
そうだ、なんとこの男、八食農園にりうかが当選したことを告げてしまったのだ!!
利用料わずか500円の八食農園(今年の金額です)、
市民農園以上に存在を知られていない八食農園、
ていうかネットでもブログでも誰もいじらない八食農園、
その八食農園の一区画がりうかの手に委ねられる、そのことがどれほど危険で恐ろしいことなのかを、電話で当選を告げたこの男は知らないのだ。
りうかには幾つも当て字がある。
通常漢字表記は『龍化』だが、寝るのが苦手で好きな人といる時以外は夜に滅多に眠れないことから『不夜城』と書いてりうかと呼ばせることもあり、また当人にとっては当たり前なことがどうも正道から外れることが多いというかほぼ外れていることから『異端者』と書いてりうかと呼むことさえあるのだ。
事実、昨年りうかは市民農園でトマトを横に植える行動を起こし、指導員っぽい人に「どこでそんなことを?」と聞かれ「経験則です」と答えたことがある。一部の農家や農法などでも斜めや横にトマトを植えることは行うわけだが、このりうかという生き物の場合には野菜を育てる基礎知識も水槽がベースとなっており、その経験上植物はその種類ごとに様々な根の生やし方をすることを知っており、その根の張り方に合わせた定着が重要だという認識の元、極端な横倒しのトマトの植え付けを行っているわけだ。
さらにそれを上回る異様も昨年の市民農園においてりうかは晒している。
ウリ科植物のタワー状栽培だ。
元は木村式と呼ばれる栽培法から始まったが、その紐の貼り方がりうかの逆鱗に触れ、片腕が不自由気味にも関わらずオリジナルに走ったのがりうか式タワー状栽培である。
他の区画には存在しないタワーが幾つも立つという異様は市民農園でも異彩を放ち、白い目を向けられていたことは言うまでもない。
そのような異様な風景を目にした時、男はどのように思うのだろうか?
多くの人のように「変なことをしているヤツがいる」と奇異の目を向けるのだろうか。
それとも「これもある種の方法かも知れない」と一定の理解を示すのだろうか。
いずれにしてもまだ八食農園での活動はまだ始まってはいない。
ただこれだけは言えるだろう。
今年もりうかは異常にたくさんエダマメを植えるだろう。
そしてタワーや混植など、他の区画とは違う風景を作っていくのだろう。
そんなことをわずか数秒で妄想したりうかは、電話先の人に素直に返事をして申込方法を聞くのであった。
という感じの喜びの表現の仕方、どうすか?[i:37]