バス利用者を増やすための取り組み、そのターゲットはどこに在るべきなのか?

路線バス利用8割減(YOMIURI ONLINE 3/7)

リンク先記事にて、路線バスの利用者はピーク時に比べて8割減に落ち込んでおり、県では路線バス維持のために企業など地域でコストを負担するモデル事業を新年度から取り組むと伝えています。

当ブログはポケットサイズのバス路線マップ「のへのバスマ」の公式ブログです。
そして「のへのバスマ」は、普段バスを利用しない人でもどのバス路線を利用すれば目的のバス停に辿りつけるかを分かりやすくまとめたものでありますが、実は普段利用しないバス路線を利用してもらおうという意図で作成されています。
つまりは普段からバスを利用している人というよりも、普段はバスを利用しない人がバスを使いやすいように、あるいは普段通勤通学でバスを利用している人がそれ以外でもバスを利用しやすいようにとの願いで誕生したものです。
そういう意味ではバス路線維持も目的の1つと言えるわけですが、今回は何故路線バスの利用者が減少しているのかを、出来るだけ客観的に示していこうと思います。

Q.何故路線バス利用者が減ったのか?
A.自家用車を所有する人が増えたから

かつて自家用車は、なかなか一般家庭では手に入れづらいものでした。
しかし八戸市のような地方都市では通勤等の利便性などを理由に一家に一台が当たり前となり、今では一人に一台と言っても良い状況にあります。

Q.バスの利用者数の推移は?
A.年々減少している

青森県の場合には1969年度の年間1億3398万人をピークに年々減少を続け、2010年度には約8割減となる2627万7000人に減っております。
しかしこれは単純にバスが不要と言うわけではなく、自家用車を持ち得ない人、いわゆる交通弱者と呼ばれる人たちを多く含んでいる数字であることを忘れてはいけません。

Q.路線バスの経営状況は?
A.赤字です

路線バスは公共交通機関としての意味合いもあり、赤字だからと簡単に撤退できないという部分があります。
それでも赤字路線は廃線となる傾向にあり、バス路線が減ることで移動の手段を失う、あるいはタクシーを利用せざるを得ないことで経済的な負担が増えている人も存在します。
赤字については事業者だけでなく国、県、市町村が負担する仕組みとなっていますが、その赤字分を背負いきれない自治体が出ていることから、今回リンク先記事のような取り組みを県が試みることとなりました。

Q.どうすれば黒字化する?
A.利用者が増えれば黒字化する

利用者が増えれば路線バスも黒字化します。全ての路線が黒字化することは難しいですが、黒字化路線が増えることで不採算路線の赤字を相殺し、結果としてバス路線の維持につながると考えます。
八戸市の場合には市民一人が年10回程度路線バスを利用すれば赤字解消になると言われています。

Q.路線バス利用者を増やすためには?
A.バス利用者に優しくならないといけない

これについてはいろんな考えがあるわけですが、私個人としてはお店などがもっとバス利用者に優しくなるべきだと考えています。
現在の八戸のお店の多くは自家用車で移動する人に優しいです。これは無料駐車場があることもそうですし、中心街においては車で来街する人に多くの特典が設けられていることも意味しています。
既にラピアやピアドゥなどで実施しておりますが(ラピアドゥ・パスなど)、バス利用者にも同様の特典(値引きやサービス)を設けることでバス利用の促進に繋がると考えます。

Q.どうしてバスを利用しないの?
A.利用する必要がなく、調べるのも面倒だから

車をもっている人は自力で移動できるので、あえてバスを利用する必要はありません。
もしバスを利用しようと思っても、全バス路線・全バス停を掲載した分かりやすい配布物はほとんど存在せず(のへのバスマが唯一全バス路線・全バス停を掲載している)、主要バス停以外についてはバス路線に詳しくないと調べることが難しく、また時間も掛かるという現実があります。
せっかくバスに乗ろうと思っても時間が掛かって分かりづらいと「面倒だから車で行こう」と思うのは不思議ではありません。

Q.今後路線バスはどうなる?
A.廃線や減便が更に進むかも知れません

今後改善が見込めない場合、路線バスの更なる廃線や減便が進むことが予想されます。その際に犠牲となりやすいのは郊外などの人口が少ない地域です。
結果、その地域に住むバス利用者はタクシーなどを移動手段にするか転居するかなどの、生活の形を変えることを迫られる可能性があります。

バスについてを現状を踏まえて考えていくと、不思議なことに普段からバスを利用する人以外への取り組みが必要なように思われます。
しかし実際に行われるのは普段からバスを利用する人に絡めての取り組みだけであり、それ以外の人へのアプローチは皆無と言っても良い状況にあります。

今後のバス路線維持にはバス利用者のみならず、自家用車利用者などへの取り組みが重要ではないかと、とブログでは提唱します。

▼参考リンク▼
減少続く青森県内のバス利用者数(八戸鉄道・バス研究会別館ブログ3/8)

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