比べるからそうなる

子供がまだ学校に行ってた頃の話。
他の子供の親がこう言ってくる。

「りうかさんの子供はいいわね、何でもできて。うちの子なんて云々かんぬん…」

別にそんなこともないんですけどね。でもそう映るそうで。もちろんこっちから見ればまた別のように見えるんですけどね、そっちの子の方が他のこと出来るのにとかね。

こういうのはどの学校でも、どの親御でも大なり小なり経験していると思う。まぁすぐにそういう人は、場合によっては経験していることさえ気付いていないのかもしれないが、そこいらはまぁどうでもいい。

何故そういう主観的な差が出るのか? ってことよね。問題は。

でもそんなの答えは分かってる。

比べるから差が出るのよ。

 
ある人は「人は皆、平等だ」と言う。
「そうだとイイけどね」とおらは思う。
何故なら人はけして平等ではないのだから。

生まれる時間も死ぬ時も違えば、知力や体力といった個人の能力も違うし、家庭環境や貧富の差などの周辺環境だって同じではない。
だって人は同時に同じ場所には立てないから。
遺伝子的には同じ一卵性双生児だって、全くの平等なんてありえない。

だってね、事故や災害の時にはね、たった数十cmの立ち位置の差で生死が分かれ、その後の人生だって別物になるんだから。

そんな元々が平等であるはずがない人を比べれば、当然差は出てくる。
比べるから差が出てくる。
でもその差は実は絶対的なものではなく、相対的なものであるということを人はすぐに忘れてしまう。

私は元々、いわゆる学力点は高かった。勉強もろくにしないで偏差値70は客観的に考えればたしかに異様とは思う。
でも提出物をトコトン出さなかったので美術は2か1、内申点も学年で後ろよりだったと思う。
それでも理数の先公にはウケが良かったが(興味深い素材だったのかもめ)、他の教師にしてみれば問題児でしかなかった。まぁそれらの行動もおらには理由があるのだが、今回そういう話ではないのでナイショ。
つまり、比べるための物差しで、昔のおいらは全く別物の評価が出てくるわけです。

子供だってそうだ。
他の親からはなんでもできると言われた私の子供だが、そのなんでもできるという部分は私が10年以上教えこんでなんとか出来るようになったに過ぎない。
そうではない部分、特に運動とかは、運動が得意でもないおらからみても運痴と思えるような感じの私の子供、比べれば学年下位に甘んじるのは自明の理。
でもその親の物差しにはそうは映らない。何故ならそれらの親の目と私の目では見ているものが違うから。
観察者も観察対象も違うのだから、これはもはや相対的ですらない、比べるに値しない異質な存在であると言っても過言ではないとおらは言い張りたいぐらいのもんです。

100点満点のテストで50点を取った人は、他の人にどのように映るでしょうか?
私の中学時代の母校レベルで言えば、最下位クラスかも知れない。
でも人によっては優秀と思うかもしれない。
だって80点より50点は低いし、20点より高いだから。
結局は比べる相手次第でどうとでも評価は変るのだ。

ならば比べることは無意味だろうか?
そうではない。
比べる対象次第で意味は変わってくる。

私は4年前の交通事故により、タイピングが酷く遅くなった。左手が昔ほど動かないからだ(左手は人差し指と親指ぐらいしかそこそこ以上満足のいく速度で打てません)。速度4割減といったところか。
それでも多くの人に比べるとまだ早いらしい。というか早過ぎると言われる。
でも他人と比べることに意味があるのは、同じ仕事についていて査定にかかわる時ぐらいではなかろうか?
それよりも過去の自分に出来ていたことが出来なくなった、その比較の方が当人にとっては大事ではないだろうか?

他に当てはめてみよう。

他人の子供と自分の子供を比較する、まぁ親としては気になるところだし仕方がないのだろうが、そこにはあまり意味は無い。テストや受験や就職では否応無く関係してくるが、それはまた別問題。
それよりは昔より出来ることが増えた事実を喜ぶ方が余程によいと思う。
その上で、問題がある部分(改善が見られない部分)はどうするかを考えてあげればいい。

子供にかぎらず何事もそう。
比べれば優劣はつく、それはそうだ。
でもどうせ比べるならば、もっと価値のある比較をするべきだ。
何かのサービスであれば競合他社との比較もいいのだろうけれども、ユーザーの求めているモノと剥離していないかを比べるべきだ。
何かを作り出す時もそれが本気であるならば「他もこんなもんだし、このぐらいでいいだろう」という妥協の言葉に逃げるではなく、過去の自分を超えるようにと作りこむべきだ。

それが出来るのであれば少しずつでも前に進むはずなのにと、そう感じたあの日のことをふと思い出した。

▼追伸▼
もちろん分かるよ。他よりは良いとかマシとか。
でももっと磨いて欲しいとおらは思うわけです。

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