ソフトバンク孫氏、900MHz帯開始でネットワーク品質の改善を約束(ケータイWatch5/29)

リンク先記事にソフトバンクモバイル＆ウィルコムの新製品発表会に関することが載ってはりますが、申しわけないが一部分にだけ反応します。

＞■ ソフトバンクとウィルコムの両方の良さをもった「DIGNO DUAL」
＞ウィルコムの端末についても紹介した孫氏は、「DIGNO DUAL」について、「両方の良さが合体した。PHSの通話は、誰にかけても話し放題。ウィルコムはソフトバンクのグループとなり、話し放題で一気に復活したが、弱みだった通信速度が（この端末で）解決した」とアピールし、ウィルコムの注目の端末であることを紹介した。

これは穿った見方だと思う。
正確には今時のなんちゃってスマートフォンを求めているユーザー大多数の声なのだろうとは思う。
しかし既存のウィルコムユーザーでそれを望む人は極少数であるとしか思えない。
何故なら今現在ウィルコムにてW-ZERO3シリーズなどを利用しているスマートフォンユーザーもしくはウィルコム1台持ちユーザーは、必ずしも高速通信を求めているとは言えないからだ。

　
かつてケータイでは、ウィルコムそしてその前進であるDDIポケットが唯一の選択肢である分野が存在した。
それはデータ通信定額制であり、メールの無料化であり、フルブラウザであり、スマートフォンだ。

モバイルにおいてのデータ通信定額制の先駆けはDDIポケットであった。
しかしその後3Gキャリアなどもデータ通信定額制に参入し、さらには3Gの高速化や新しい通信方式などの導入による高速化が進んだことは皆も記憶するところのはず。
ではそのような流れの中、ユーザーはどのように動いてきたであろうか？

Dポ時代からの古参のウィルコムユーザーであっても、さらなる高速通信を必要とするユーザーは既にウィルコムにおいてデータ通信を利用していないはずである。利用していたとしてもそれはスペシャルモデルなどの安価なデータ通信を保険として有しているだけであり、またそのようなユーザーは利用料金よりも通信速度や通信可能エリアなどのサービスを優先しているわけであり、むしろウィルコムやソフトバンクよりも通信品質の優れている他キャリアのサービスに乗り換えていることが予想される。

では古参ユーザーで現在もウィルコムにおいてデータ通信を利用しているユーザーとはどのようなユーザーかと考えると、通信速度が劣っていても安価な料金を求めているユーザーであると言える。
つまり「弱みだった通信速度」 自体が既存ユーザーには当てはまらないのだ。

このことはメールやフルブラウザ、スマートフォンにおいても言えること。
メールが無料のサービスは他キャリアにも存在し、安さよりも速度や今時の携帯機能以外の機能を搭載した端末を求めるならば、ウィルコムにとどまる理由はない。フルブラウザ然り、スマートフォン然り。
でも既存のウィルコムユーザー(1台持ち)は料金を織り込んだ上で、ウィルコムのメールサービスやフルブザウザやスマートフォン(W-ZERO3)にいちおう以上に満足しているからこそウィルコムユーザーを続けているはずなんです。

そこを正しく理解していればPHSにおいてのデータ通信速度の遅さは「弱み」ではなく、安価で利用できる安定したデータ通信という「別の強み」であり、そもそもその判断基準となる価値観が違っているということにも気付くはずです。

当然ソフトバンクのエライ人はそのことを知らないわけではなく、既存のウィルコムユーザーはどうでもいいから他キャリアのユーザーをまきこめばいいぐらいの考えでしか無いとしか受け取りようがありません。釣った魚は搾取すればいいって考えなのでしょうね。

だから今回のこのウィルコムスマートフォンとは名ばかりのPHS通話機能付きソフトバンクスマートフォン「DINGO DUAL」の発売で、既存ユーザーの多くはウィルコムを放れるのかも知れませんな。
そして新参ユーザーが増えるにつれ、ソフトバンクが好き勝手しやすくなり、ウィルコムはソフトバンクに吸い尽くされ、日本における稀有なシステムは終焉を迎えるのやも知れません。

非常に残念ですね。

さて、私もどのような道に進めばいいのか、今しばらく考えてみようと思います。