ウィルコムの未来を考える

2009年9月24日、ウィルコムは事業再生実務家協会への事業再生ADRの手続を正式申請し受理されました。
ネットでは安易に「ウィルコムは終わった」という論調が多々見受けられますが、ある程度事情を理解出来る人は「まずは債権者が合意するかどうかを見守るのみ、ただ風評被害だけは出るだろう」と静観の姿勢でいることと思います。

実際にADRがどのような方向に進むかも気になるところですが、みどウィル移では視点を変えて、このADR後のウィルコムがユーザーや取扱店にどのような影響を与えるかを考えてみたいと思います。

まずはADRに至るまでの流れを再確認しましょう。

今回のウィルコムにおけるADRとは、簡単に言ってしまえばXGPを進めるのにお金が掛かるから借金の返済を待ってくれという話です。これについては現在進行中の話であり、債権者が受け入れるかどうか次第で今後の話は変わってくるのですが、その根本の原因は昨年からの世界同時不況にあります。

元々はカーライルは、XGP進展の為などの理由でウィルコムへの増資を計画していました。
しかし世界を覆った同時不況の為に計画は撤回、さらに増資の為の出資者を募るが集まらなかったわけです。

ウィルコムとしては現行PHS自体はいちおう黒字化しましたが、新規にXGPを始める為にそちらに資金を集中させたいという思惑があります。
だがカーライルからの増資が無くなり、XGP立ち上げに当たってどこからか資金を捻出するために取った行動が今回のADRであるというわけです。

多少極端な話をすれば、ウィルコムは現行PHSだけを続ければとりあえずはADRなどしなくてもいいわけですが、しかしながらXGPをやらないと未来における希望がないのでやらないわけにはいかない、その上での判断をした形となります。

このような前提条件の上で、債権者が受け入れた場合にはどうなるでしょう?

まずユーザー目線で言えば、影響はそれほどないと思われます。

プランについては効率化の名の元に今までよりも多少は古いプランが減らされたり、あるいはW-VALUEサポートが無くなって別途有料化されたような変更はあるかも知れないですが、元々技術的な裏付けもあり採算ラインも突破している定額プランやつなぎ放題シリーズなどの撤回はないように考えられます。
ただ端末については多少リリースが乏しくなる可能性はあります。
まぁユーザーの受ける影響といったらそれぐらいのものです。

しかし店舗については影響を大きく受ける、あるいはスタンスを変える可能性があります。

まず債権者側が受け入れるだけの条件付けとして、費用削減が当然求められます。その際には人員削減が当然考えられます。
ウィルコムにおいての人員削減と言えば、一番怪しいのは直営店であるウィルコムプラザの閉鎖です。これはウィルコム側の判断にも大きく左右されますが、あそこを廃止して優良な取扱店(名ばかりではないウィルコムカウンター)に機能を補完してもらう方がコスト削減につながるでしょう。
しかしそれは、ウィルコムカウンターの様々な負担増にも繋がる可能性があります。
さらに今回のADRの風評被害や先行きの不透明感などもあり、取扱縁が損害を被らないような行動に取る可能性も出てくるでしょう。つまりは業務体系の見直しや仕入れの減少などです。

たまに家電量販店などでウィルコムコーナーに「予約商品」「売切中」と貼られたモックが並んでいたりしますが、あれもそういう理由です。
端末を仕入れればお客にすぐに商品を渡すことが可能です。
しかしすぐに売れるか分からない端末であれば、客が来てから仕入れる方がお店としてはリスクが少ないわけです。
今後そのような流れがウィルコム取扱店で加速する可能性があり、結果的にウィルコム取扱店が減る可能性があるでしょう。
ただこの場合、生き残った店舗には様々な機能が集約することで専門性が高まることも予想されます。

それ以外のことで言えばますます販促物が減る可能性もありますが、ただ近頃は効果が見込める部分についてはピンポイントで積極的に行われているケースも確認されており、どのように流れるかは不透明である、と言えるでしょう。

ではもし債権者が受け入れなかった場合にはどうなるでしょうか?
この場合には店舗には厳しい現実が訪れるでしょうが、ユーザーにはそれほど酷いことは発生しないと考えられます。

もし債権者が受け入れない場合には、当然ウィルコムの業務自体が大きく変貌する可能性があります。
もしかしたらXGPが売り出されてウィルコムは現行PHSのみとなるかも知れませんし、場合によっては解体ということもないとは言い切れません。またその上で再事業化するのか、あるいは消えるのかも否定はできません。
いずれにしても店舗としてはますます仕入れを制限し、事業見直しをしないといけない状況になってくることでしょう。ウィルコム取扱店としては是が非でも債権者に受け入れて欲しいという感じでしょうか。

しかしユーザーはそれほど被害はないと思われます。というのも、いきなり停波とはならないからです。
もしウィルコムが破たんしたとしても、いきなり停波にはならないでしょう。ウィルコムも既に公共インフラの一部として食い込んでいる以上は、仮に停波に向けて動くにしても移行期間が設けられるはずです。別に赤字が膨らんでいるわけでもないのでね。
また停派に向けて動くのであれば、他キャリアが移行優遇策を用意してくれるでしょう。なんせ契約者数で450万弱、半分が移行するとしても200万超、これはけして少ない数字ではありません。

これが借金まみれで未来の収入を前借りしまくり設備投資を怠っているソフトバンクならどうなるかわかりませんが、ウィルコムの場合にはXGPへの投資で困っているだけなので、最悪の場合でもユーザーが受ける影響と言えばXGPが利用できずにPHSが終わるぐらいのもので、他のケータイを選ぶだけの猶予はの子去られると考えられるわけです。

つまり今回のウィルコムのADR手続き申請に関することを分かりやすく言えば、どうなるか見守るしかないし、仮に悪い方向に行ってもユーザー的にはそれほど影響はなく、むしろ店舗が大変だなぁ、ということです。
落ち着いて見守ればいいんだと思いますよ。

近頃はウィルコムユーザーでもユーザー歴が短い人が増えてきたこともあり、かつての不遇時代を知らずに騒いでいる気が個人的にはしています。
ですがかつてのPHS不遇の時代に比べれば今は端末も豊富で、昔のように「所詮ピッチでしょ」と言わんばかりの頭からの全否定もなく、そこまでユーザーが騒ぐほどのことではないと考えます。
ケータイ選びにおいて大事なことは正しい情報を正確に理解し判断することであって、後は自分の身に合ったケータイを選ぶだけです。その上でウィルコムが適さないならば離れれば良いし、適しているならば選べば良いだけです。
噂や未確定な情報に流されず、今だからこそ落ち着いて正しい判断をすべきではないかと思います。

2件のコメント

  • SECRET: 0
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     こんばんは。ユーザーなので、FC2のほうも何度か拝見しておりました。今回の件については、暇?人さんの
    〈PHS-MOBILE.COM〉でも目にしておりました。いきなり無くなるような事ではなさそうなので、まずは一安心です。

  • SECRET: 0
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    私はDoCoMoのPHS停波も経験したクチですが、仰しゃるように、
    今回の件はユーザー側が大騒ぎするほどの話ではないように思えます。
    暫くは静観で良いのではないでしょうか。
    最悪のシナリオで停波となった場合でも、
    ソコソコの移行期間は設けられるでしょうし、
    同時にまず間違いなく、auへの移行勧奨が行われるでしょう。
    今でも、株主様ですし‥‥‥。(^^;;;
    他社だって、指をくわえて見ているとは思えません。
    その場合、XGPは技術的に何処かで生き残るなら、
    それはそれでも、とも思います。
    記録媒体「PD」で大失敗をこいた松下が、その技術を応用して、
    DVD-RAM、Blu-Rayへと繋げたように。(冷めた見方ですいません)
    ともあれ、PHS単体ではしっかり黒字なのに、
    なんつーか、ネガティブ・イメージが先行してしまう宣伝・広報の弱さに、
    忸怩たるものを感じざるを得ません。
    (裏を見ると黒いネタばかりなのに、常にポジティブな某S社もナニですが)

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