脱長期利用ユーザー基本料金優遇論

近年、ケータイ料金の基本料金割引には大きな変化が起こっています。
従来の継続利用年月を基にする長期利用割引に代わり、2年契約などを前提に高い割引率が適用される割引が一般的になってきているためです。

今までは5年なり10年なりの長期継続利用をしなければ高い割引率は適用されませんでした。それは同じキャリアを長く使い続けることのメリットを前面に押し出した基本料金割引だったとも言えます。
しかし現在主流の割引は2年契約などを前提として個人でも基本料50%OFFなどの高い割引率をいきなり適用される形であり、それは同じキャリアを長く利用しつづけるメリットよりも、他キャリアからユーザーを獲得しやすいというメリットを内包しており、ある意味ではキャリアの方向転換の産物であると言えなくも無いわけです。

現在の割引体系は新規に契約したユーザーにも高い割引率が適用される形となる為に、多くのユーザーがその恩恵を受けられると言えるものです。
そんな中で一部にはその状況に不満を持つ人たちもおります。
「長期利用している人たちこそ料金的に優遇されるべきだ」という、長期利用ユーザー優遇論とでもいうべき考えを持つ人達です。

しかし私はあえて言いたい、
『ケータイにおける基本料割引は元々不自然な部分が大きく、長期利用ユーザーの優遇策を基本料金の値引で行うこと自体が間違っているのではないか』
と。

ドコモの音声向け料金プランに代表されるような従来型の料金プランは、今までは継続利用年数に応じて、現在は2年契約を前提として、最大で50%の基本料割引を受けることが可能です。
これは見方を変えるならば、従来5年なり10年なりの長期継続利用をしてきたユーザーへの特典であった高い割引率が、現在は2年契約するだけで誰でも高い割引率を受けられる形となっているわけであり、その『誰でも』という部分が一部ユーザーの不満の原因となっていました。

ですが冷静になって考えてみて下さい。
基本料金が半額になるのはもちろんうれしいのですが、常時それだけの割引ができる基本料金っておかしくはないでしょうか?

通常長期利用割引と言えば他業種ではせいぜい最大10%程度のものでしかありません。
まぁ当然と言えば当然です。
モノの価格というものは原価(仕入れ値)に各種費用を上乗せし、それに利益を乗せて設定されるものです。
それを半額で販売すれば大きな赤字となる方が当たり前であり、そんな大きな割引率で販売されるのは期間が限定される売り出しか、あるいは在庫処分などのケースぐらいしかありえないわけです。
そう考えるとケータイの基本料割引50%OFF、しかもそれを常時適用するという割引は他業種では考えられない程の大きな割引であり、穿った見方をすれば『最初からかなり上乗せしているのではないか?』とさえ思えるものだと言えます。

それも今まではある程度の納得がいきました。
長く利用しなければ高い割引率は適用されませんでしたし、基本料50%OFFとなる為には長期利用に加えて家族で同キャリアを2台以上契約することが必要だった為、誰でも50%OFFとなるわけではなかったからです。

しかし現在の基本料割引ではその前提条件さえも変わってしまいました。
1年目からでも、しかも1人でも2年契約さえ受け入れるならば、いきなり基本料が半額になってしまうからです。
例えば従来ドコモのタイプSS(月3780円)では1人で1年目には基本料10%OFFで月3402円だったものが、現在ではいきなり50%OFFの月1890円、バリューコースのタイプSSバリューにいたっては月1050円と従来の3分の1の基本料金で利用できてしまいます。

ここまでくると、やはり最大50%割引が適用されるタイプのケータイ基本料金は、不自然な部分があるのではないかと思わずにはいられません。
言葉は良くありませんが、無駄にケータイキャリアに料金を上乗せさせられていたのではないか、とも思えるほどです。
百歩譲って各キャリアの努力の末に誰でも値引可能になったのだとしても、それでもやはりケータイにおける基本料金はある意味存在がほとんど無い価格設定にあると言え、見ようによっては以前に比べれば幾らかまともな価格帯に落ち着いてきたとも言えなくもありません。

このように考えていくと、長期継続利用での特典を基本料金の大幅割引に求めることには無理があると言えます。
では長期利用ユーザーには何の特典も与えられないのでしょうか?
と言うと、そこはやはり長期利用ユーザーには何らかの形での特典があるべきでしょう。
ただそれは不自然な基本料金割引という形ではなく行われるべきです。

例えば契約が長期となるユーザーには、ポイントの長期利用分をポイントに上乗せ還元する形での優遇はどうでしょうか。
ポイント的に優遇した上でできるだけ幅広いケータイに関する用途(料金値引や端末購入代金、景品交換等)に使えるようにすることで、キャリア的にも無理は少なくユーザー的にも長期利用の恩恵を受けることが可能になると思います。

また1つの端末を長く使い続けるユーザーに対しては、新しいバッテリーの無償配布や無料でのパーツ交換等の施策もあって然るべきです。
現在のケータイの料金体系では1つの端末を長く使うメリットがほとんどありませんが、1つの端末を長期利用するユーザーもまた大事にしなくてはなりません。その為の方策をキャリアはユーザーに提示するべきだと考えます。

これら以外にも、まだまだ様々な長期利用ユーザーの優遇策は考え出せるはずです。
ただいずれの方法を取るにしてもそれは新しい料金体系に則したモノであるべきで、旧料金プランでの優遇策を安易に新料金プランにも適用すれば良い、というものではないはずです。

昨年から各キャリアにおいて、新しい料金プランやサービスが相次いで登場しています。
しかしそれらはまだまだプランとしては不完全であり、またそれらに関する割引サービスもある種イビツな部分があることは否めません。
ただ目先の損得だけで安易に否定するだけでは、新しいサービスというものは生まれてこないものです。
ユーザーには旧来とは料金プランの内容自体が変わってきていることをより理解してもらうことを、そしてキャリアにはユーザーの納得のいくプラン提示と周知の徹底をより進めてもらいたいとそう思っています。

3件のコメント

  • 基本料金半額っておかしいと思うのはおらだけ?

    脱長期利用ユーザー基本料金優遇論(みどウィル移3/8)移転の方に記事を書いてみました。内容は「基本料金割引で長期利用ユーザーを優遇しよ…

  • SECRET: 0
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    時期がどうだったか覚えていませんが、ご指摘の事をドコモは現在、実現していますね。ウィルコムも長期ユーザへの優遇策を考えてもらいたいものですね。
    >例えば契約が長期となるユーザーには、ポイントの長期利用分をポイントに上乗せ還元する形での優遇はどうでしょうか。
    →2008年4月1日より利用期間を5・8・10年と区切って、月々の利用が少なくてもポイントアップに...
    >また1つの端末を長く使い続けるユーザーに対しては、新しいバッテリーの無償配布や無料でのパーツ交換等の施策もあって然るべきです。
    →これは既に同一機種を2年以上使い続ければバッテリーの無料交換があります。
    長く使うユーザにとってはありがたいものです。

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    とりあえず情報どもも。
    でも申しわけないが、ドコモがポイントでの長期利用ユーザー優遇策を行なっていることは知っているし(ついでに言えば書いた時点ではまだ開始していなかったりもするので指摘する意味がないし)、またauは長期利用ではなく利用額によってポイント加算額を買える方策を行なっていることも知っております。
    ただ記事中ではね、そういう流れになっていることに対して反発があるということを言っているわけで、また特定キャリアだけではなくケータイキャリアがそうなるべき、しかも申し込み無しでその方向に行くべきだと言っているんですぞい。
    あと重複投稿のはけしておきますぞい。

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