料金プラン改定の足かせともなるW-VALUE SELECT
現在のウィルコムの端末販売方式は2種類存在します。
1つは店頭で支払いを終了させる従来方式、もう1つはウィルコムが直接端末代金の回収を行う形の割賦販売方式W-VALUE SELECT(以下WVS)です。
他キャリアでもソフトバンクモバイルやNTTドコモが導入している割賦販売方式ですが、ウィルコムのWVSは他キャリアよりも実質0円端末が多くを締めているという特徴があり、24ヶ月利用する人であれば端末購入代金0円でウィルコムを利用しやすくなっています。
このWVSの登場により、ウィルコムは契約者数が純減しながらも端末販売数は伸びているという妙な現象が発生しています。
おそらくこれは、料金プラン的には他キャリアの追い上げを受けて新規契約が伸び悩んでいると同時に、既存ユーザーの端末購入の敷居がかなり下がったことで機種変が進んでいるという現われなのでしょう。
これらのことからも、現在のWVSの形は新規ユーザーよりも既存ユーザーに対してお得なモノであることは明白だと言えます。
これを受けてウィルコムは新規向けのキャンペーンをWVS絡みで行っていますが、新規ユーザー獲得の為には料金プランにおける改定はもはや必須の状況と言っても過言ではないでしょう。
しかし、料金プラン改定に当たっては避けては通れない大きな問題が存在します。
それは端末販売に貢献しているWVS、その存在です。
WVSは端末代金を一括もしくは24回分割払いとし、割引とサポートを受けられると言う割賦販売方式です。
WVSを利用するユーザーは最初に端末代金を支払って割引などを受けるか、あるいは分割払いと割引を同時に受けて実質端末代金が0円や安い代金とするかの選択が可能となっています。
問題となるのは前者の場合、WVSで一括支払いで端末を購入する場合です。この場合はW-VALUE割引が直接的にケータイ料金の割引という形になります。
とするとケータイ料金のマイナス払い、つまりはケータイ料金以上の割引だけは避けたい、とウィルコムは考えるはずです。
現在のW-VALUE割引価格は音声端末で720~1690円、W-ZERO3シリーズでは1150~2100円となっています。これは現状のほとんどのプランよりも安い価格帯でなんとか収めている形です。
しかし料金プラン改定などで割引額よりも安いプランが登場するとなると、ウィルコムが逆に料金の払い戻しをしなくてはならなくなります。
これは非常に好ましくない事象です。
これを避ける為には幾つかの方法があります。
1.新料金プランの最低額を2100円とする。
料金プランの最低額が割引額を超えなければ問題はありません。
しかしこれでは他キャリアへの対抗プランとは成り得ないでしょう。
2.新スーパーボーナス方式にする
ソフトバンクの新スーパーボーナスのように、W-VALUE割引を割引上限額とする。
これは導入自体は簡単な方法です。(採算性を度外視すれば)幾らでも基本料金を下げられます。
しかしソフトバンク同様に「安く見せているが実際は高い」という悪評も招きかねないのでウィルコムにはやって欲しくない方法だと言えます。
3.バリューコース方式にする
ドコモのバリューコースが905iシリーズから適用となっているように、ウィルコムも今後販売する端末の購入時に新料金プランを適用する、という方法です。
現状高い割引がある端末の多くは少し古い端末です。これは高い端末価格を高い割引で相殺して古い端末を入手しやすくする、というWVSの特徴から生じたものでしょう。
ですからバリューコース同様にすれば、新料金プランとWVS価格のバランスは取れることとなります。
しかしこれは端末販売サイクルの短いウィルコムには難しい選択です、下手すれば安い新料金プランを発表できても1年間で2端末しか対応できない、ということも起こり得ます。
なかなか現実的には難しいものがあると言えます。
4.もう割り切って無料分を繰り越しちゃう
マイナス払い分は翌月繰越にする、という方法。
これはもう苦肉の策です、もしすごい無料通話分が溜まってしまったら困りますが、そこはよくある「解約時の払い戻しは致しません」みたいなことで対応。
でも所詮苦肉の策、やっては欲しくない方策です。
5.WVSの一括払いをやめちゃう
問題は一括払いにすると月の料金の割引額がケータイ料金を上回る点にあります。
ならば一括払いをやめ、分割のみにするという方法論です。
支払いの選択肢は減りますが、一括で3万円超や5万円超の支払いをすることはあまり多くはないでしょうから、リスクも少なく現実的な方法論と言えるのではないでしょうか。
ただし、この場合はケータイ料金からインセ回収分(端末代金分)を徴収しきれない可能性も残る点に留意は必要です。
このように、料金改定が望まれているウィルコムではありますが、新販売方式W-VALUE SELECTの存在こそが料金改定に影響しているだろう部分も少なくはないでしょう。
また最も現実的な「WVSの一括払いをやめちゃう」を導入したとしても、ソフトバンクのホワイトプランほどの採算度外視のプランは論外としか言えません。幾らインパクトがあっても、経営を圧迫するだけでは意味がありませんから(ソフトバンクは買収時の借り入れ条件に純増があったので無理しなくてはならなかった)。
とは言え、さすがにウィルコムの料金プランは時代遅れです。
音声料金向けプランもDDIポケット時代のプランはほぼ存在意義を失っていますし、データ通信向けプランも今の時代に沿ったものとは言えない状況です。
WVSの改定も含めて、今年こそはウィルコムに競争力のある新料金プランを登場させて新規契約を再度純増へと向けること、それが今年のウィルコムに必要な課題の1つではないでしょうか。
▼参考リンク▼
ウィルコムの音声向け料金プランを考える1(みどウィル移9/10)
ウィルコムの音声向け料金プランを考える2(みどウィル移9/13)
移転に2008年最初の記事を書きました。
料金プラン改定の足かせともなるW-VALUE SELECT(みどウィル移1/2)移転に今年初めての記事を書きました。内容は「WVSは販売にはいいけれども、実は料金プラン改定の際には足かせにもな…
ねこ鍋
ねこ鍋・ねこなべ・ネコ鍋・ネコナベ・猫鍋
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あけましておめでとうございます。
今年も更新を楽しみにして、何かあったら書き込もうかと思っておりますのでよろしくお願いします。(^_^;
それはそうと、WVSは最初から新スーパーボーナス方式ですよ?
http://www.willcom-inc.com/ja/service/w_value/index.html
の月々のお支払いのイメージのど真ん中にちゃんと書いています。
個人的には3)のバリューコース方式にしてほしいですけどね。 こっちの方が基本料の安さがはっきりしてますし。 新プランは(出るかどうかわかりませんが)WVS必須にすればバリューコースへの移行はすんなりいくと思うのですが。
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また来ます!次も楽しみにしてます!
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あけましておめでとうございます。
>それはそうと、WVSは最初から新スーパーボーナス方式ですよ?
↑これはおらも存じております。
でも現状そういうケースはまずないべ、ってことよね。
想定できるケースはnico.で安心だフォンにして最大割引とか、医療向けでW-ZERO3を購入してウィルコム定額プランのみとかそんな感じよね。あるいはW-ZERO3でトリプルプランか一部の旧プランの最大割引適用とかね。
でも使い方などを考慮すればほとんどそんなことはないし、また新スーパーボーナスの特別割引ほどの大きな違いはないわけです。
まぁウィルコムの説明はいちおう先付けでやっているだけでしょう。
ただ今後もし安い新料金プランが登場するとなると対応しないのは問題だと思います。極端な話、980円プランとかが出て「月のケータイ代980円ポッキリ!」とか宣伝しちまって今のWVSのままでは苦情が出るのは目に見えている。
さすがにウィルコムはソフトバンクほどに面の皮が厚くはないのでね、そこは対応していくんだろうなとおらは思っています。
まぁ割賦販売の在り方としてはバリューコース方式の方が良いとは思うんですけどね。
ただやはりバリューコース方式にすると基本料からインセ分を今以上に引いて割引ではない安さに改定しなくてはならない部分、つまりは現状プランの改定も絡んできてしまうわけでして、そうなると今度は別の意味で複雑化する可能性もあるんよね…あぁめんどい。
だからもうWVSでの一括やめちゃわない? っておらは思っていたりするんですよ。んで端末代込みで割り引いちゃえってね。
実際問題として、WVSって計算するとほとんどの端末が1年~1年半で機種変なり回線解約しても通常販売額と同程度になっちゃうんですよ。
逆に言えばそれ以下の利用期間予定なら通常販売、それ以上ならWVSで棲み分けできちゃうわけで、WVSでの一括払いのメリットってどこにあるんだろう…とおら的には強く感じるのよね。「いちおう選択肢として存在させているだけ?」ぐらいにも思っちゃうし。
あと端末代が安いのが良いのか、あるいはケータイ代が安い方が良いのかという議論は、たぶんキャリア的にはもうどっちでも良いのだと思います。見せ方は意識するでしょうが。
だってもう実質2年間の端末代とケータイ代の合計がどうかって話ですからね、2年間が過ぎてからはまた別問題で。
そう考えると、バリューコースの見せ方は魅力だけれどもまぁWVSもそんなに悪くはないのかな…でも一括の存在意義はどうよ? とやはりWVS一括払いにだけやたらに引っかかりを覚えたりしています。
まぁそんな感じの妄想とか個人的な意見を多分に含みつつ、今年もどうぞよろしくお願いしますm(__)m
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あけましておめでとうございます
ウィルコムの料金、基本料に限らず通話料や通信料も含めて新プランへの改定が必要だとおもいます。
でも、端末代負担型(割賦の場合も債務を持つことになるのでこれに含む)購入の場合の一括払い廃止は残して欲しいし無くす意味は無いと思います。
通常の買い物の場合、最初からお金を持ち合わせているのにわざわざ割賦を選ぶ方はあまりいませんし、
未成年者(これ、同意書以上に知名度が無いので厄介なんですよ)や割賦の審査が通らない方、
窓口払いを続けたい方にとっては特典を受ける手段が閉ざされてしまいますので。
ましてや端末によっては一括価格もそれほど負担が大きくはありませんですし。
それよりも、WVSによる端末代の基本料からの割引は今回みたいなややこしくてはまる可能性が出てくるため(私やりうかさんみたくさんざん調べた人はそれほどいませんですからねえ)、
やはりドコモのバリューコースのような基本料(ないしは通話、通信料を含む利用料)を安くしてくれた方が分かりやすくて非常にいいと思います。
それにあわせて専用の料金コースをつくってしまえばいいのですし。
ところで、私も突っ込もうと思っていたところですが
>>それはそうと、WVSは最初から新スーパーボーナス方式ですよ?
>↑これはおらも存じております。
の辺りですが、本文の
>問題となるのは前者の場合、WVSで一括支払いで端末を購入する場合です。この場合はW-VALUE割引が直接的にケータイ料金の割引という形になります。
>しかし料金プラン改定などで割引額よりも安いプランが登場するとなると、ウィルコムが逆に料金の払い戻しをしなくてはならなくなります。
この部分(↑)&避ける方法の2.を見た際、読まれる方にそのように誤解されるのは無理は無いのでは…
と思うのですが いかがでしょうか?
コメント、長々とすいませんです…
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なるほど、そう受け取っていたわけね。
おら一般の反応とそれへのさらなる明示も込みで言っていたつもりだったんよね。
おらが言いたいのは一般の人がどれに対して値引されているかをちゃんと把握していない恐れがあるってことね。
とりあえず現状のウィルコムのプランでは一般的な利用法の範囲内ではソフトバンクの特別割引のような状況は発生しない、幸か不幸かね。あまり言いたくなかった例外は一部で隙間を付くような方法でnico.以外の端末で安心だフォン契約するような人ぐらいかな、まぁそういう人は大人しく差額分を払ってもらえばいいだけですが。
しかし安価な料金プランを登場させれば、今のウィルコムの宣伝&説明ではまだ足らん部分がある。おそらくはそれで一般の人が飛びついてちゃんと規約なりを見ないで契約してクレームをつけてくる人も少なくないでしょう。
ただその時にウィルコムは、ソフトバンクのように「ちゃんと読まない貴方が悪い」と切り捨てられるのか? ということです。
とりあえずおらが今まで見てきた範囲では、ウィルコムって優しいというか良い子ちゃんというかけっこうユーザーのワガママを聞く場合もあるのよね。最初の方のウィルコム定額プランでメール定額外の受信方式にして利用したユーザーに対して優しい対応したこともあったしね。
だからもしそのようなクレームが多数あれば、ウィルコムならいちおう値引などの説明はした上で個別対応とかする可能性もあるべさね。
でもウィルコムも本音はそんなことしたくないはず、事前にちゃんと説明書を見ろという話であるわけだしね。
さらにもしそのような自体があらかじめ想定できるならば、避けるような形に改定するのが当然でしょう。ってことね。
そういう意味で料金改定にはWVSの扱いやら改定やら、さらには見せ方などまで含めて改定が必要と思うのよね、ってのを書いたつもりだったんだが伝わらずに残念ね。
まぁ伝わらなかったのはおらの文才の無さとして、あえてプラン考ではなく未来考として書いたものだからこれでもさほど問題はないかと思っていますがいかがでしょうか。
あとちょっと1つ気になったのですが、割賦の審査ってのはあるんすか?
WVS利用でも通常販売でも契約の審査があることは知っていますが、契約はできるが割賦はダメで一括はOKってのはおら初めて聞いた。
おらが聞いていた範囲では契約の審査が通ればWVSも受けられるし、契約の審査が通らなければ一括でも販売されないということだったのよね。
もし割賦が契約と別個に審査があるというのであれば、今後取り上げる時にはかなり意味合いが違えてきますので教えていただければうれしく思います。