ウィルコム純減、その原因と思い違い
10月のケータイ契約者数で、ウィルコムが再び純減に転じました。
それを受けてかネットのあちこちでは「ウィルコムもう無理」やら「ソフトバンクに移る」やらの書き込みが多数存在しております。
また「ウィルコムは新端末を導入すべき」や「新料金プランを作らないと未来がない」と言ったウィルコムへの要望も幾つも上げられています。
しかしそれらの意見は、本当にウィルコム純減と関わるようなことなのでしょうか?
新端末の投入や新しいサービスの導入によって大幅純増する可能性は0ではありません。現にソフトバンクモバイルはホワイトプランの投入で6ヶ月連続純増数トップを実現して見せました。
このことを受けて「ウィルコムでも新端末や新料金プランをやれば純増するはず」という意見はある意味納得のいくものではあります。
けれどもちょっと振り返ってみて下さい、
ウィルコムが投入した新端末の影響で純増数が大幅に増えたことは過去にあったでしょうか?
残念ながら、ウィルコムが端末の影響で純増数を増やした過去は存在しないと言えるでしょう。
たしかにW-ZERO3シリーズはヒットしました。日本のスマートフォンと言えば今でもW-ZERO3が他を先んじている状況にあるぐらいです。
でもW-ZERO3シリーズのおかげで大幅純増に繋がったか? というととてもそうは思えません。
初代W-ZERO3の発売月と翌月こそ多少の純増上乗せがありましたが、ケータイの販売数が増える年末年始だったことを考えるとその影響はほとんどないと言えるでしょう。
続くWS004SHも[es]も純増数への影響はほとんどないように見え、アドエスに至っては発売翌月には純減に転じるなど燦々たる有様です。
これはWX320シリーズやWX310シリーズなどにも言えることで、実際に売れているのは型落ちになった端末や、最初から安かった京ぽん改こと「WX300K」のような存在であることからもわかるはずです。
そうです、ウィルコムにおいては高性能高価格の新端末投入で大幅純増した過去など実際には存在せず、ただそれらの端末もよく売れていただけ(=それらの端末が目立っていただけ)なのです。
それを言い換えるなら、新規加入者のほとんどは「音声定額」や「待ち受け」として購入するので安い端末を購入し、高性能端末はどちらかというと機種変ユーザーが好んで購入する、という実態を現してもいます。
これらを考慮すると、新端末の投入が純増数に貢献する可能性は低いと言わざるをえません。
ではW-VALUE SELECTで実質0円端末が多数ある現状、これは純増数にプラスにはならないのでしょうか?
端末価格だけの理屈ではプラスになるはずです。W-ZERO3[es]なんかW-VALUE SELECTを利用すれば実質タダですからね、新規需要を掘り起こす要素は少なくないでしょう。
しかし実際には新規ユーザー=ウィルコムユーザーでない人が知るには多少のラグがありますし、また機種変の多くがW-VALUE SELECT利用であり一部で端末の供給が遅れがちになっていたことまで考えると、とてもではありませんが改定後のサービス開始初月の純増を押し上げるだけの材料とはならないでしょう。
W-VALUE SELECTが純増に繋がるかどうかは11月~翌年1月辺りの純増数を見てみないとわからない、というのが正直なところでしょう。
ではそれ以外に今月再びの純減となった原因はないのでしょうか?
そのキーワードはまちがいなく「ウィルコム定額プラン」にあります。
ウィルコムがここ数年純増を続けられたのは間違いなく「ウィルコム定額プラン」のおかげです、しかし同時に「ウィルコム定額プラン」がそのままで在り続けたことが純減にも繋がってきているはずです。
「ウィルコム定額プラン」と同レベルの音声定額を行うことは現在においても他のキャリアには不可能なことです。またメール定額やパケット料の安さについても他キャリアは今尚真似できません。
加えて当時としてはウィルコム定額プランの基本料や通話料は最安クラスと言っても良く、「ウィルコム定額プラン」は特定の相手との音声通話が多い人ヘビーユーザー向けのプランであると同時に、通話はほとんどしない待ち受け用としての選択肢をも満たしていました。
そのような理由もあり、ウィルコム定額プラン投入後の2年半で契約者数は150万も上乗せされてきました。
しかし時代は変わりました。
ウィルコム定額プランが誕生してからの2年半はけして短くはありませんが、しかしながらケータイ業界にとっての2年半はケータイ料金の全面改定があってもおかしくはない程の長い期間でもあります。
事実ソフトバンクモバイルは問題視された「ゴールドプラン」を導入し、そのわずか3ヵ月後にはゴールドプランを事実上抹殺してしまった「ホワイトプラン」を導入しました。ある意味ではプラン継続もなにもあったもんじゃないほどの海底の嵐というか無鉄砲ぶりでした。
またドコモとauは2年縛りでのいきなり基本料半額を導入し、分離プランに当たるプランも用意し始めました。
この他キャリアの動きにより、「ウィルコム定額プラン」は基本料も通話料もパケット代も安くておまけに音声とメールが無料のプランから、パケット代が安くて音声とメールが無料のプランに成り下がってしまったのが現在の状況です。
つまりはウィルコム定額プランが他のプランの追い上げに合ったが故、待ち受け需要を満たせなくなったことに問題があるわけです。ぶっちゃけ「ウィルコム定額プラン」は現在では待ち受けユーザーには魅力が薄いですからね。
加えて言えば、ウィルコムの音声向けプランには「ウィルコム定額プラン」以外で使い道があるのは「安心だフォン」こと「通話相手先限定サービス(月1029円)」ぐらいしかなく、またデータ向け料金プランも既に時代遅れになってしまっています。
これらの状況を打破しウィルコムが更なる純増を続けるためには、再び多くのニーズを満たすような料金プランの提示が必要でしょう。
例えばそれは当ブログで考えた「ウィルコム標準プラン」「ウィルコム昼得プラン」「ウィルコム安心プラン」も1つの方法でしょう。
一見ホワイトプランやバリューコースに見劣りしそうですが、実現可能で実際の競争力もある価格帯としてはこのような提示もアリだと思います。
また暇?人さんの提言した「ウィルコムおまかせ定額プラン」も1つの方法です。
基本料0円で他は全てオプション扱いにする、インパクト的には十分です。個人的にはソフトバンクちっくな香りがして好きにはなれませんが(=ω=A;;; 実現したらW-VALUE SELECT適用外かソフトバンク方式での適用になりそうですし。
まぁいずれにしても、待ち受けメインユーザーへの料金対策は急務であると言えるでしょう。
少なくとも、現在ウィルコムを利用しているまともなユーザーであれば、待ち受けメインでの用途にウィルコムを奨めるのは難しい状況にありますのでね。
以上のように当ブログとしましては、新規契約に繋がる部分が伸び悩んで、かつ解約部分での料金プラン的なアプローチが出来ていないが為の結果のウィルコム純減である、と考えております。
今後の為には新料金プランの提示と、そしてW-VALUE SELECTの認知度の向上が必須でありますし、またそれらがどう動くか、そして受け入れられるかについては今しばらく状況を見定める必要があるでしょう。
最後に、
ウィルコムはあまりにもバカ正直過ぎます。他キャリアなら今のウィルコムのプランやW-VALUE SELECTであってももっとえげつなく宣伝するでしょう。特に某社なんかは。
でも私はそんなバカ正直過ぎるウィルコムが好きだったりします。そんなウィルコムだから応援しています。
またそれには、何処かのキャリアのように大風呂敷を広げておいてすぐに改定というのは裏切りに感じるから、という部分も含まれています。
もちろんウィルコムはもっと宣伝方法を考えるべきだと感じていますが、しかしながら胸を張って「私はウィルコムユーザーです」と言えるような真摯な姿勢は捨てないで欲しい、そう思っています。
プランだけでなく、いろんなサポートや対応やらも含んでそう思います。
▼参考リンク▼
ウィルコムおまかせ定額プラン(AIR-internet-EDGE 10/26)
10月のケータイ契約者数、ソフトバンクがトップ、ウィルコムが純減に(みどりうかブログ11/7)
ウィルコムの音声向け料金プランを考える1(みどウィル移9/10)
ウィルコムの音声向け料金プランを考える2(みどウィル移9/13)
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ウィルコムは構造的に終わっているためどうしようもないのです。
よく考えてみてください。
天下のドコモがデータ定額をはじめ、ソフトバンクが馬鹿売れしている。
いずれもHSDPAでウィルコムより圧倒的に早い。
ウィルコムより圧倒的に公式コンテンツが多い
ウィルコムよりも圧倒的に端末の出来が良い。性能が高い。
今後2年も会社が残っているかどうか怪しいのです。
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表面というか題目上だけを見ていては事実は見えませんよ。
ドコモのPC接続データ通信サービス、あれはウィルコムやイー・モバイルのPC接続データ通信サービスとは比べ物にならないほど制限が多くて高くてまともには使えません。あれを使って得したと感じる人は限りなく少ないべね。
またソフトバンクモバイルは、赤字になっても純増数を増やさねば経営権を失うんですよ。ボーダフォン買収時の借入金の条件でね。
だからマトモにサービス提供できないような料金設定で頭数を稼いでいるのが今の状態、そして今徐々に値上げとサービス適用範囲の縮小を始めている状態です。
HSDPAは理論値は高いが実測値ではウィルコムに劣る場合もある、理論値が高いだけでは意味がないのはもはや常識。
公式コンテンツはキャリアがユーザーから理由付けして料金を上乗せするモノでもあるので、公式コンテンツが豊富であることがユーザーライクとは限らない。
高性能端末は金さえ掛ければどのキャリアも作れる。ただウィルコムは携帯ほど高いインセンティブを掛けていないので905iシリーズのような端末を作ると実売価格で5万円とかになって売れるわけがないだけ。
いずれもケータイに詳しい人なら気付いていることです。
あと最後のヤツは昔から何度も聞いていた言葉です。言っていた人は今のウィルコムをどう思っているかわかりませんがね。
そんな思い込みよりは、ウィルコムの何処が構造的に終わっているかを書いた建設的なコメントを書いてもらいたいです。
あと個人的には、ケータイ業界の2年後に無くなっていそうなモノの筆頭は「ホワイトプラン」だと思いますよ。
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ど~も!家の近くの基地局はたぶん自分のAIR-EDGEとアドエスだけしか使われてないんだろうな~と思うと、ちょっと独占欲が満たされて、顔がほころんでしまう阿川春継です。
WILLCOMの純減はやはり料金体系が古くなってきたことにあると思います。ウィルコム定額プランもそうですが、なによりAIR-EDGEの通信料金の改定は急務でしょう。二年縛りの8xキャンペーンで料金半額なんて出来るなら、全面的な改定してくださいな!…と思ってしまいます。
サポート態勢も確かに問題…挙げればキリがないですが、いつも思うことは、支えてくれる会社なり人はいないのかな~と思うことです(WILLCOMが一人がいいって突っぱねてる?)
次世代PHSで2.5GHz帯獲得出来たら、改めて、資本的なことも含めて参画してくれる企業が現れてくれないかしら…京セラとか、シャープとか、日本通信とか…
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ありがちなマニア視点・お客様視点とは一線を画した論考、興味深く読ませていただきました。
以下の記事も、(対象はドコモですが)みどりうかさんの考察に通じるものがあると思います
力作「905i」を投入するも、なぜドコモは純増統計で「敗北」したのか
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080228/294959/
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080228/294937/