ARPUに対する各キャリアの思惑

この記事はみどウィル支に投稿した記事の再掲載です。

本日11月15日ウィルコムが事業説明会を開きました。新体制になってから初めての説明会となります。
その中で幾つか気になった部分があり、それを取り上げてみようと思います。

ウィルコムは事業説明会の場で以下の様な話があったそうです。

『音声定額導入の影響でARPUが下がっていたものの、現在はほぼ横ばいに推移。ARPUが4000円台と少ない中で経常利益ベースで黒字化を達成した。』

ARPUとは1ユーザー辺りの収益平均であり、ケータイでは1ヶ月辺りの基本料や通信料を意味しています。
一般論として、ARPUが多ければ多いほど客単価が上がり、売上も上がり、会社は利益を上げやすくなります。
そのARPUがウィルコムの2006年上期では下がり止って4040円であったということであり、それでも黒字化することができた、という意味合いの話になります。

このウィルコムのARPU『4040円』という数字、ケータイキャリアとしては非常に少ない数字です。
asahi.comの記事を引用させてもらうと、ドコモのARPUは6720円、auは6700円、携帯キャリアで少ないソフトバンクでさえ5672円もあります。ウィルコムは携帯で一番少ないソフトバンクよりも3割近く少ないARPUである、と言えるわけです。

これは言い換えるならば、少ないARPUでも黒字化できる運営をウィルコムが行ってきたということでもあり、それは同時にユーザーが安い料金でケータイを利用できている、ということでもあります。
また少ないARPUで黒字化したということは、ウィルコムが音声定額や携帯よりも安いパケット料金でサービスを提供していても利益をあげられる仕組みを作り上げてきた、ということでもあります。

実はソフトバンクの新プランが事実上値上げになるケースが多いことにも、このARPUが関わっていると言われています。
つまり見た目上の安さをアピールし、しかし実際には値上げになる部分が多いことでARPUを上げることを目的としている、とも受け取れるわけです。

さらにARPUの額には公式コンテンツの充実なども関係しています。
コンテンツが充実しユーザーが利用すればデータ通信料が増え、その分だけARPUが増えることになります。

このように考えると、ドコモやauはコンテンツの充実でARPUを上げようとしているのに対し、ソフトバンクはコンテンツではなく料金の見た目上の値下げかつ料金の実質的な値上げでARPUを上げることを目論み、ウィルコムはARPUを上げることも意識しつつもARPUが少なくとも利益が上げられる体制を整えようとしている、という見方も可能です。
ARPUを上げたいと思うことでは各キャリアは一致しますが、しかしながらその方法や思惑についてはキャリアごとにかなり違うと言えます。

ARPUもまたインセ同様、安ければ良いというものではありません。
ケータイである以上は問題なく通話ができること、メールに遅延などが発生しないこと、また障害時の対応が迅速であるかどうかということが前提にありその上での料金ですから、そのサービス内容と一緒に考えねばユーザーにとって本当にお得かどうかは見えてはこないでしょう。
しかしながらARPUの上げ方にもまたキャリアの姿勢が反映され、その姿勢は廻り廻ってユーザーへと影響を与えることと考えると、ARPUもまたケータイキャリア選びの判断材料の1つにも成り得るということも憶えておいて損はないと思います。

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▼参考リンク▼
ウィルコム事業説明会で「できるだけまじめにやっていきたい」とコメント(みどりうかブログ11/15)
ウィルコムが事業説明会を開催。W-OAMを来春に64QAMまでバージョンアップ(memn0ck.com11/15)
本日ウィルコム事業説明会がありました。(useWill.com11/15)
ウィルコム新体制、お客様本意の徹底を図る(ケータイWatch11/15)
ソフトバンク「0円」攻勢の裏 実は恐れる値下げ競争(asahi.comAERA発マネー ビジネス)

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