八戸市などの外部電力切り離しでのマイクログリッド実証実験が成功

再生可能エネルギー100%による自立運転に成功 ~ 八戸市にて商用電力系統から独立した高品質な電力供給を実証 ~(三菱電機ニュースリリース11/12)
八戸新エネ、自立運転試験に成功(Web東奥11/13)
新エネ実証研究 自立運転試験に成功/八戸(デーリー東北11/13)
三菱電機、マイクログリッド実証実験に成功(日刊工業新聞 Business Line11/12)
再生可能エネルギーだけで商用電力賄う、三菱電機など実験成功(NIKKEI NET 11/12)

八戸市と㈱三菱総合研究所と三菱電機㈱が奨めている「新エネルギー等地域集中実証研究」、その研究地域内の消費電力を新エネルギーで100%賄う自立運転試験が成功したんだそうな。
約1週間の試験中、外部からの電力供給を切り離した状態で、太陽光発電と風力発電にバイオマスガス発電と蓄電池設備を組み合わせたマイクログリッド(分散型電力供給システム)からの電力供給のみで八戸市庁舎本館、八戸圏域水道事業団旧庁舎、八戸市内の小学校2校と中学校2校の計6施設への電力供給を行い、実際に電力会社の供給とほぼ同等の99.85%の安定供給を果たしたんだそうな。
八戸市などは来年3月までに研究成果をまとめる予定で、今後の活用は検討中らしいが市庁舎本館だけに電力供給するなどの計画もあるらしい。

この報道ね、昨日知ってもう速攻で取り上げたかったんですが、八戸市の発表があるかもしれないと1日ガマンしました。
でも結局その動きがないっぽいのでもう載せてみた。せっかく八戸市が大々的にアピールできるチャンスなのに八戸市のHPで公開しないとは何事かと本気で思う、もったいない。

まぁそんな八戸市のHPの相変わらずの使えなさは仕方ないとして、今回の実験はものすごい有望な実験結果であると言えるでしょう。

世間にはなんとなく「原子力発電などはやめて全部太陽光発電とか風力発電とかにすればいいのに」と思っている人は少なくないですが、実際にはそんな簡単にはいきません。
何故なら電気というものは、安定供給されないと使い物にならないんです。
しかし太陽光発電や風力発電は当然お日様や風に左右されるわけで、そのままでは利用し辛いんですよ。
それを補う為に、外部電源に依存せずに独立して稼動する太陽光発電搭載の機器などは蓄電池などを組み合わせているわけです。

では現在の太陽光発電や風力発電ではどのようにしているかというと、そういう電力の安定供給の為の設備を兼ね備えてはおらず、作った分の電気をリアルタイムで消費するか、電力会社に売却するかだけです。
ということは、どんなに今のタイプの太陽光発電や風力発電が普及しても、結局は電力会社側で安定供給する為に発電しなくてはならず、それを実現するために電力会社は原子力発電を進めていく、ということになるわけです。
エコな発電を普及させる程その保険として原子力発電も増えていく、というある種の矛盾ですね。

これは言い方を変えれば、幾ら太陽発電や風力発電を導入してもそのバラツキを埋める施策が無くては、電力的に独立して存在することが難しいということも意味しています。
それを回避する為の方法が、何らかの蓄電施設で電気を貯めて電力を安定供給するというものがあり、また考え的にそれに近いものに発電した電力で水素を生成して不足分をそれで発電するという方法があります。

そして今回のマイクログリッドは、太陽光と風力で発電した電気を施設に供給し、その波を埋める為にバイオガスによる発電をコントロールし、またその補助として蓄電池設備を備えている、という方法です。

今回の実験成功によって、八戸市は災害時に大規模停電に陥ったとしても市庁本館の機能維持が可能とする手段を自前の発電機以外に有したことになります。
これは本来であれば、もっと大々的に報道しても良いぐらいの素晴らしい成果です。
日本全国で活用できる可能性も十分にあるのですからね。

そのことを八戸市は理解して、もっともっとアピールして欲しいもんですが…まぁ無理なのかなぁ…誰かは知らんが今回の実験の関係部署の方々と今の八戸市のHPを作っている方、もっとこう活用して下さいな。

▼参考リンク▼
「新エネルギー等地域集中実証研究」、自立運転試験開始(みどりうかブログ11/3)
省エネルギー・新エネルギー(八戸市)

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