チュウゴクオオサンショウウオが日本で野生化している?
河川に野生化した外来種 在来種の生態に影響か(Web東奥2/15)
オオサンショウウオ、中国から外来種(asahi.comサイエンス2/16)
チュウゴクオオサンショウウオが日本の河川で野生化している可能性があるんだそうな。
松井正文教授(京都大)らが日本各地でオオサンショウウオの生息地を調査した結果、関西地方の河川の上流でDNA鑑定を行った22匹中4匹が外来種のチュウゴクオオサンショウウオだったそうな。またそれらの個体は繁殖行動をしており、日本の自然に適応しているとみられるとか。
チュウゴクオオサンショウウオはたしか日本でペットとしても販売されていたはずよね。八戸では見た記憶が無いが、けっこう前に雑誌に載っていた気がする。
まともな知識があれば余程の覚悟と両生類への愛情がないとあんな大物(になる生体)を飼う気にはなれないはずですが…やはり一番可能性があるのは安易に飼育した人が飼いきれなくなったか飽きたかで密放流かな…とか思ったりしています。
2005年に外来生物法が施行されて以来、外来種に関する問題がメディアに取り上げられる機会が増えてきた気がします。
しかし不安を煽るばかりで正しい知識を与えていないのでは?と思うこともけっこうあります。
外来生物についての問題点は幾つもありますが、大きく分けて「在来種との競争」「在来種への疾病の流行」「在来種との交雑」の3つに分かれると思います。
ブラックバスやカダヤシ、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)なんかは「在来種との競争」という意味で問題です。
直接的な競争相手となることで在来種を駆逐していく可能性があることが、これらの外来生物の問題となっています。またブラックバスの場合は日本にいなかったタイプの繁殖能力の高い肉食魚である、という点も問題です。
在来種への疾病の流行とは、簡単に言ってしまえば日本に存在しなかった病気や寄生虫が外来生物によって持ち込まれることです。
この頃の事例では両生類に感染する「カエル・ツボカビ症」がそうです。これは今まさに日本の自然下に流出するかどうかの瀬戸際の問題であり、外国産のカエルなどが感染した状態で日本のペットショップなどに並んでいる事例があったことが危険視されています。
また外来クワガタなどでも同様の問題があります。
日本に存在しない病気が蔓延すると、その病気への抵抗を持たない可能性の高い日本の在来種は大きなダメージを受けます。
在来種との交雑は、外来種と交配することで雑種ばかりになる問題です。最悪の場合には日本の在来種が存在しなくなります。
今回のチュウゴクオオサンショウウオの問題がこれに当たります。
また身近にありながら知られていないところでは、安易なメダカの放流なんかも同じです。
メダカなどの在来種であっても地域ごとに遺伝子に差異があります。
この差異こそがその地域に適応してきたメダカにとって最も大事な価値なのですが、他地域からメダカを移入するとその地域種ではなく雑種になってしまいます。場合によってはその地域に適応する為の能力を薄める結果となり、数を減らす可能性も存在します。
これらのような理由がある為に、外来生物はもちろんの事、在来種であっても安易に野に放つことはしてはならないのです。
とまぁ結局のところ、モラルや知識が足らない飼育者がいるのが問題なのよね。
それを助長している一因に、機材が高性能かつ廉価になり飼育が簡単になったこと、様々な生体が多くのお店で安価に入手できるようなったことがあるのはなんとも皮肉な話です。
嫌な言い方をしますが、販売店と店員は飼育者の味方であるとは限りません。中には売上だけが大事で、生体のことや飼育者のことを考えていないお店などもあるからです。
だから本当は飼育したいと思った人は、自分でも勉強しなくてはいけないんです。
これがまだ他の趣味ならいいんですけどね、失敗してもサイフにいたいだけで済みますから。
でも生き物を飼うということは、命を預かるということですからね。特に水辺の生き物の場合は犬など以上に飼育者に生殺与奪権がガッチリ握られていますから。
そしてそれらを野に放つことは飼育生体を不幸にするだけではなく、自然界の生き物も不幸にするということでもあります。
まぁそこまで覚悟しろとは強要できませんが、そのような可能性もあるんだぐらいには知り置いて欲しいものです。
と何かあるたびに言っていますが、世間の意識は今どんなもんなんでしょうね(=ω=。
気になるところです。