カダヤシはメダカを襲って食べませんよ(でも稚魚は食われるかもね+追記アリ)

外来種で日本固有の「メダカ」危機(TBS NEWSi 2/12)←リンク先記事が削除されたようです。
外来種で日本固有の「メダカ」危機(TBS NEWSi 2/12)←見つかりました。
外来種で日本固有の「メダカ」危機(TUFニュース速報2/13)
めだかの学校、乗っ取られる? 姿そっくりの外来魚侵入(山陽新聞ニュース 地域ニュース 地域文化2/14)

リンク先記事で、めだかを飼育している施設で実はカダヤシを飼育していた事が判明して駆除(おそらく殺処分)しているということが載ってました。
カダヤシは特定外来生物に指定されていますし、新規に飼育する為には商業目的と言えども環境省への飼育許可申請が必要ですからね。本来カダヤシを飼育して見せるのが目的ではないでしょうから殺処分は仕方のないところでしょう。

ただ以下の文章が気になった。
>蚊の駆除を目的に放流されましたが、食性が強く、ボウフラだけでなく同じ地域に棲むメダカまでも食べてしまうのです。
これはどういうことなのでしょうか?
というのも私の知る限り、カダヤシの成体がメダカの生体を襲って捕食するということはないはずだからです。

メダカとカダヤシは一見すると似ていますが、背びれの尻びれの位置が違うので見分けがつきます。メダカはかなり尾びれ側に背びれがあり尻びれが横に長く尾びれ近くまで生えてますが、カダヤシは明らかに背中に背びれ、お腹に尻びれがあります。
その食性は大きく違い、メダカは草食性の強い雑食、カダヤシは肉食性の強い雑食であり、メダカが植物性プランクトンなどを主食とするのに対し、カダヤシはボウフラなどの動物性のモノを主食としています。

でもね、カダヤシって生きている魚を襲って食べたりはしないのよ。腹が減ると死んだ魚とかけっこう貪り食うし、死にかけた生体を突付く事はあるけどね。

実際おらは、一時期水槽数の不足によりヒメダカとカダヤシを同じ水槽で飼育していたことがあった(メダカとカダヤシは交雑しないからね)。
でもその環境下でもヒメダカは増えていたし、逆にカダヤシの繁殖はあまり進まなかった。カダヤシによる捕食も見受けられなかった。
まぁ食性や適応環境が違うので当然起こり得ることではあるのよ、外来種だからといって全てがブラックバスのような存在ではないから。
もちろん稚魚の捕食の可能性は否めない、カダヤシやグッピーは自分の子供も食べちゃうからコッソリやってる可能性はある。
でも正常に生きているメダカ(特に成体)を執拗に襲うことはない、たまにちょっかい出すことはあってもメダカの方が逃げ足早いのでトラブルにもならない。

だからあの記事には酷く違和感を憶えたというのが本音です。

いちおうニュース画像も見ました。ニュース画像の中でも「カダヤシがメダカを食っている」とかナレーションで言ってますな。
あれはどうなのだろう、めだかの学校の人がそう言ったのかな? それともテレビ側で勝手に思い込んで作ったのかな?

まぁ20~30年前の論文とか本ではカダヤシがメダカを駆逐しているというのはたしかに多かった、でもそれも捕食ではなかったと記憶している。
まして今時の論文ではメダカとカダヤシは住み分けしているというのがほとんどだし、その生息域の変化は人間による護岸工事や側溝のコンクリート化、あるいは水系の富栄養化によるものなんだけどね。
…まぁめだかの専門家がそういう思い込み(カダヤシがメダカを捕食する)をしているとは思い難いし、テレビ側の思い込みなのかな。岡山県のカダヤシはメダカを襲う程獰猛と言う可能性も0ではないだろうが。

もぅなんかあれよね、すごいショックだった。
たしかにメダカとカダヤシが共存できる水質&環境下ではカダヤシが優勢に回る可能性はあるだろうが、ブラックバスやブルーギルのような肉食の魚食魚ではないのよね、カダヤシは。
外来生物を考える上でカダヤシは重要な生体の1つではありますが、こういう全国区でのニュースでいいかげんなことを言われるとどうにもやりきれないものがあります。
正しい知識を流して欲しいものですな。

◆2007/2/14追記◆
やはり館長さんはカダヤシ成体によるメダカ稚魚などの捕食でメダカが減少している、ということを言っていたようです。
ということはメディア側が勘違いしたってことなのかな。
岡山市環境保全課職員さん、コメントありがとうございました。
スッキリしました(=ω=。

ある意味ブラックバスもそうなのですが、基本的に丸呑みで捕食するタイプの魚は自分より小さい個体を食べるのよね。
だから小さい個体が激減すると、稚魚や幼魚が激減した種は成体の個体数が減って産卵数(出産数)が減っていずれは姿を消すと。
そういう意味ではブラックバスやカダヤシが日本の在来種に与える影響は似たようなものがあります。

ただメダカやカダヤシを飼育している立場から言わせてもらえば、かなり環境次第の部分が大きいです。水草など隠れる場所がないと、メダカもカダヤシも稚魚が親に捕食されるのは避けられません。
しかもメダカの場合、その水草に卵を産むから尚の事繁殖が妨げられる、そして稚魚、幼魚の水質悪化への適応性はカダヤシの方が上。
その辺りを考えると、メダカとカダヤシの場合には在来種とブラックバスほどの積極的な捕食関係にはおらず、成体の大きさ的には競争相手ぐらいになるはずです。
しかし嗜好性の違いと生息域の差から、本来は同一環境に共存するということ自体が少ないように思います。
それを同じ環境下で飼育すれば環境に適した種の方が優勢になるだろうし、環境がどっこいぐらいだと出産形態の違いからカダヤシが優位になりやすいだろうと思われる、って辺りが本当のところじゃないかな。
そう考えるともしかしたら、めだかの学校さんの環境はメダカよりカダヤシに適しているのではないか? とも考えられるわけです。まぁ水槽やってる立場で言えばそうなる。

でもカダヤシも大変よね。
日本脳炎とかを媒介する蚊を退治する為に用水路などのボウフラ(蚊の幼虫)を積極的に捕食するカダヤシ(蚊絶やし)を放流しまくり、でもメダカが減ったからとその原因に祭り上げられて特定外来生物入り、日本人が放流したあげくに日本人に駆逐されるというある意味ブラックバスちっくな要素もあったりします。まぁあちらはレジャー目的で密放流が横行し、カダヤシは病気を防ぐ為に放流されたという違いはありますけど。

まぁそういうこともふまえて、安易に生き物を野に放つことには注意が必要なわけですな。買ってきたメダカも野に放っちゃダメだしね。
ってなことで、正しい知識は大事なわけです。

▼参考リンク▼
メダカとカダヤシの種間関係

7件のコメント

  • SECRET: 0
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    私の家では、めだかとカダヤシを飼っているのですが、カダヤシはすばしっこく、カダヤシの住む鉢から、めだかの稚魚がいる鉢にJUMPしたことがありました。

    その翌日・・・10数匹いたメダカの稚魚は2匹を残して無残にカダヤシに食べられてしまいました。(泣

    雑食性で、稚魚なら確実に食らいます。

  • SECRET: 0
    PASS: a172bfcc2100e1e90d1e151d4c0be1ae
    体験報告ありがとうございます。
    でも雑食性なら子食いをするというのは少し違うと思いますぞい。

    カダヤシに限らず、ほとんどの魚は口に入るモノならとりあえず食べようとするんすよ。
    その時に一番の問題となるのは食べる側の魚の口に入るサイズかどうかです。

    卵胎生メダカでも、カダヤシやグッピーなど身体が比較的大きいモノは子食いをしやすく、エンドラーズなどの小型のモノは子食いをしない傾向にあります。
    またメダカも子食いをするタイプの魚です。環境にもよりますが、卵や稚魚をパクっと食べる事は珍しくはありません。
    さらにいうと食性の違いは嗜好の違いであり、雑食性だからと子食いをするとは限りません。メダカだって動物性の餌を食わないわけではないし、カダヤシだって植物性の餌を食わないわけではない。

    だからメダカだろうがカダヤシだろうが、成体と稚魚を一緒にすれば稚魚が捕食されるのは当り前。
    そして稚魚の捕食率については、誕生直後の遊泳力や耐性の差が如実に出る。また隠れる場所(水草など)の有無でもかなり違ってくる。
    それらを考えれば、一緒にすればカダヤシじゃなくても稚魚が食べられる事は想像に難くないはずです。
    その辺りはご理解下され。

    あとついでにいえば、稚魚が食われたその事例は人為的ミスですぞい。
    カダヤシがジャンプして入る込むということは侵入経路があるということ、それはカダヤシじゃない魚が混入しても水生昆虫が侵入しても同様のことが起こるということを意味しています。
    事実としてカダヤシによるメダカの稚魚の捕食があったのでしょうが、それはカダヤシだから起こったのではなく、飼育環境がそうなるようなものだったのだと理解下され。

    それとキツイことを言うようだすが、他の水系に移れるような飼育ってのは褒められませんぞい。現在の外来生物問題の一端は飼育環境の不備や排水等の処理不足にありますから。
    そういう意味で自然下への流出や隣接する鉢等への移動は防いだ方が良いですよ。ジャンプしないようにする施策はいくらでもありますから。

  • SECRET: 0
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    たまたまこのプログを見つけた岡山市環境保全課職員です。先ほど、この件について、この施設の館長さんと話をしたところです。館長さんは、私の前のコメントで仰られているとおりで、「カダヤシ成魚による、稚魚、仔魚や卵の捕食」の影響が、メダカ減少に寄与したということを言われたそうです。ニュースの記述は、誤解を与える表現ですね。

  • SECRET: 0
    PASS: a172bfcc2100e1e90d1e151d4c0be1ae
    岡山市環境保全課職員さん、情報ありがとうございます。
    やはりメディア側の勘違いというか認識不足だったようですね。
    日本の自然にとって大事なことを報道しただけに少し残念です。

  • カダヤシが増える理由

    大和川のメダカを守れ 外来魚急増で対策検討(SankeiWEB社会3/5)リンク先記事で、大和川(大阪府、奈良県)でメダカが増えているが、それ以上にカダヤシが増えているという記事が載ってはる。まぁその事実自体には特に驚くことはない。現在の日本の多くの河川は護岸工事の影

  • SECRET: 0
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    岡山市環境保全課職員さんやブログ主さんの見解が違うのですが、

    以前、カダヤシとめだかを飼っていたことがありますが、
    大きいカダヤシはメダカの成魚も食べます。
    まず、カダヤシがメダカに噛み付きます。メダカはふらふらになります。
    弱ったメダカをカダヤシは下あごを外したような大きな口をあけて一のみにします。
    ヒメダカはなぜかカダヤシにあまり狙われなかったようで、カダヤシを逃がすまで、無事でしたが天然のメダカは全滅しました。
    メダカの成魚をカダヤシは一のみしていました。
    本当です。
    メスの太ったカダヤシがメダカの成魚をばくっと一のみした光景は忘れられないです。

  • SECRET: 0
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    まずはこんな古い記事に今更コメントを付ける神経がよく分かりません。
    加えて、客観的に判断できない状況を「本当だ」と言うことが信じられません。
    具体的な数字もあげずに信じろなんて、出来るわけがないでしょうさ。

    まず大きいカダヤシとありますが、それは全長何cmですか?
    メダカの成魚を丸呑みにするのであれば全長10cmは軽く超えていると思われますが、それはカダヤシという種のサイズではありえませんよ。

    メダカもカダヤシも地域や亜種などで体長の差はあるでしょうが、どちらも成魚は2cm弱ぐらいからです。それより小さいものは生殖能力が未発達な幼魚扱いです。
    最大サイズで言えば、成魚はメダカは最大で4cm強程度、気持ちメスが大きいぐらい、カダヤシではオスが3cm弱、メスが4cm強という程度です。カダヤシはメダカとほぼ同じ大きさでしかないと言えます。つまり胴の太さには大差はない。
    また構造的に、メダカもカダヤシもグッピーも、自分の体の太さ以上の餌は飲み込めません。まぁ当たり前ですが。
    それどころか最大級のグッピーのメスでさえも直径2mm程度の餌を丸呑みにすることは難しいです。メダカやカダヤシ程度では直径2mmの物体を飲み込むことは不可能です。直径2mmの餌を飲み込めないのにそれと同程度以上の胴の太さのメダカを飲み込むことは、カダヤシにはありえない話です。
    ついでに言えば、口から肛門の長さが全長の半分しかないんです。ということは実際の胃はもっと短いわけですので、自分と同程度の魚を飲み込めるはずがないんですよ。メダカの成魚2cmを4cmのカダヤシが飲み込めるって話自体がありえない。

    ですから別の魚がメダカを捕食することはありえますが、しんやさんが飼っていた魚がカダヤシかどうか自体が怪しいです。
    本当にカダヤシでしたか?

    あと怪しいという理由にはもう1つあります。
    しんやさんの話は魚に詳しくない人の話にしか思えないからです。

    ハッキリ言って、しんやさんは魚を飼ってはいけない種類の人ですよ。何故ならやってはいけないことをやっているから。
    >ヒメダカはなぜかカダヤシにあまり狙われなかったようで、カダヤシを逃がすまで、無事でしたが天然のメダカは全滅しました。
    ↑日本語がおかしいのですが(小学生でもこんな文章は書かないという感じなのですが、失礼ですが日本の方ですか?ソフトバンク信者が言いそうなヤツではあるが)、少なくともカダヤシを逃がしたのですよね?
    例え採集種であったとしても、飼育種を自然界に逃がすのは、飼育者が最もやってはいけない重大なルール違反です。
    しかもヒメダカとメダカを一緒に飼育していた、それを放流をするような人がやるってことは、交雑種を世に放つ可能性をはらんだ自然破壊行為ですよ。

    あなたにように学びもしない人が身勝手に飼育し密放流したことが、カダヤシなどの特定外来生物指定の一因となったと知りなさい。
    その上で最低限のルールが守れないのであれば、生き物など勝手はいけません。

    あなたのやったことは、飼育者として最低のことだと理解しましょう。

    そのような人が客観的な情報もなく、さらには魚種特定やその生態の知識もない状態で「本当です」と言っても、信じられるはずがありません。
    省みることをまず知りましょう。

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