オール電化住宅が一般住宅の1.69倍CO2を排出とかいう話
オール電化住宅でCO2増加 環境団体が試算結果(Web東奥8/23)
検証ペーパー「オール電化住宅は地球温暖化防止に寄与するのか」(PDFファイル)
環境団体「気候ネットワーク」が、「オール電化住宅」の普及で消費電力が増え、地球温暖化の原因となるCO2排出量が増加しているとの報告書をまとめたそうな。
なんでも、東京電力管内の2005年度のオール電化住宅の1世帯当たりの年間CO2排出量が一般住宅(ガスや石油などを利用する住宅)よりも69%多かったそうな。1.69倍ってことね。
これがどういう基準で計算されたか気になってその団体のHPに行き該当PDFを見てきましたが、意外にも(と言っちゃ失礼ですが)客観的な検証がされていて面白かった。
簡単にまとめると、従来の電気+ガス+石油を光熱源として利用する場合のCO2排出量とオール電化によって排出されるCO2量を、発電の最初をベースにして計算したものらしい。
つまり実際にオール電化で使われる電力量を元に直接CO2量を計算したわけではなく、その電力量を送電する時のロス、さらにそのロス込みでの電力量を発電した時のエネルギーロスなどまで考えて計算すると、オール電化住宅は宣伝している以上にCO2を排出していますよ、という話。
面白いのは、これは電力供給時におけるロスが大きいと言うことが原因であって、オール電化で利用されるエコキュートやIHクッキングヒーター自体のエネルギー効率については素晴らしいと客観的事実をしっかり述べている事ね。
実際問題として、今の発電所からの送電はかなりのロスがあるのよね。
それに比べれば例え熱効率等が悪いガスコンロでも、直接ガス自体をロス無しで運べるガスの方がCO2の排出量は少なくなる、という話。
でもその辺りを考えると、また面白いことが考えられる。
家庭用燃料電池による逆転現象だ。
現在実用化に向けて開発が進んでいる家庭用燃料電池、これが十二分に実用化されると発電と送電によるロスが極めて少なくなる。
そうなってくると今度はやはり、オール電化で家庭用燃料電池を運んでもらうという「オール燃料電池電化住宅」なるものも生まれるかも知れない。
となるとその燃料電池用の燃料は、電気会社でなくガス会社が取扱う可能性は十分あるのではないか。
となると今度は、ガス会社もオール電化製品を扱い始める可能性も捨てきれない。その上で更なる火力を求める、あるいは効率が良い場合にはガスを奨める、というビジネススタイルも考えられなくはない。
でもまてよ、もしその燃料電池の燃料が水素ガスだったりしたらどうなるのかな?
…もしかして一部の発電所は水素ガス精製プラントとして転用されだすかな?
仮に燃料電池による発電が浸透すれば、何も原子力をバンバンやる必要もなくなるかも知れないよね。まぁ国が止めるとは思えないが。
と、いろんなことを考えさせてくれる面白いレポートでした。
▼参考リンク▼
温暖化防止に取り組むNGO気候ネットワーク