アクティブ試運転に同意
核燃再処理工場の試運転、青森県知事が同意へ(asahi.comサイエンス3/11)
推進5割、不安も6割 経産省の原発調査(Web東奥3/11)
青森県は六ケ所再処理工場のアクティブ試験実施に同意する意向を固めたそうな。
アクティブ試験は使用済み核燃料を実際に使って行われる試験。
実際に操業された時と同様の事を行い、プルトニウムなどの生成物の分離具合や環境に放出される放射能の量などを確認する。
個人的には大事な部分は2点に絞られると思う。
●実際に環境に排出される放射能の量はどの程度なのか
●人為的ミスを防ぐ為の体制をどのように整えるのか
●実際に環境に排出される放射能の量はどの程度なのか
実際に稼動させ、どの程度の放射能が排出されるのか、また分離などが正常に行われるのか、それらを確認しないことには始まらないと思う。
現在の日本は核燃サイクル推進に進んでいます。
推進派、特に事業者などは実際に環境に与える影響が少ないのだとアクティブ試験を通じて示す為に、
そして反対派は実際に環境に与える影響がどの程度なのかということを把握する為に、
現状ムリヤリストップなどは出来ない以上は、どちらの為にもこのアクティブ試験自体は必要なのだと思うのです。
そしてその結果を精査し、事業者はそれに奢る事なくより安全性を高める方策を探る努力をするべきですし、反対派は本当に従来の説明以下のレベルでの廃棄あるのかを確かめ、問題のある場合は広く情報を公開し国民に知らしめる、また廃棄物のレベルが想定量以下であったとしても今後も十分に関心を寄せる、それが大事ではないかとね。
どうしても主観的になりがちですが、まずは客観的な事実を見据える為には現状アクティブ試験の結果は大事な要素の1つに思います。
●人為的ミスを防ぐ為の体制をどのように整えるのか
推進派と反対派では、次のような議論が繰り返されることがあります。
推進派…安全対策も施しているし環境への影響も自然の範囲内だから安全だ。
反対派…不測の自体が発生すれば取り返しがつかないことになる、そうでなくても環境への悪影響がある。
この論議をそれぞれの視点でのみ語るばかりで、結果平行線になることがしばしば見受けられます。
が、もっと大事なことが別にあります。
原子力関連の事故は技術的な不備ではなく、ほぼ全てが人災なのです。
誤解がないように言っておきますが、原発でも再処理工場でも機械の故障は起こります。これは長年乗って整備もしないでもまったく故障しない自動車は存在しないのと同じこと、機械は構造により差はあれども定期的なメンテナンスや部品交換等で正常に機動し続けるものであり、そういう意味では六ヵ所の再処理工場も機械の故障は絶対に起こるのです。
が、いちおうそれを考慮し、トラブルが発生しても放射能漏れ等が起こらぬように2重3重の安全策が設けてあるものです。
再処理工場で身近なもので言えば、自然投棄される放射性廃液などです。
フィルターを通しているとはいえ、もしそれに不備があれば大量の放射性物質が自然界にばらまかれる、という可能性もあるわけです。
その為に工場側ではモニターしているのであり、異常値が検出されれば早急に廃棄を停止する、という形であるとアナウンスしているわけです。
しかし現実問題として、放射能漏れを伴う核燃料関係の事故は今まで何度もありました。
スリーマイル島然り、チェルノブイリ然り、東海村然り、です。
これらの事故は一見別物にも見えますが、問題発生時に専門家に相談せぬままに作業員が判断して対応、故障部品の交換を怠った結果の大災害、慣れや勝手な作業の効率化による臨界など、いずれの場合も技術的な欠陥や故障などを伴っているとはいえ、結局は人的災害です。
そのことを考えると、今後再処理工場での放射能漏れ事故が起こるとするならば、それはおそらく人に起因する何らかの事故ではないだろうか、という考えに帰結するのはそれほど難くはない。
そしてそれは事故までといかないまでも、廃棄物に関しても起こる可能性はある。
現場の慣れでのチェックの不備や作業員の勝手な判断によって、基準値を上回る量の放射性物質等の流出があるかも知れない。
それらを防ぐ為の体制作り、そしてその方策の順守こそが第一なのだ。
もちろんその為の取り組みには終わりはない、今最良の策を講じてもそれを更に上回る安全策を探すべきだからだ。
いずれにしても、今回のアクティブ試験は日本の核燃事業の試金石となるものであることは間違いない。
その重要性を考えるならば、推進派も反対派もその活動とはまた別に注意深く見守る必要があることだろう。
…最後に、
もし貴方が再処理工場に反対するのであれば、まずは自分の家の節電から始めて欲しい。
平たく言うならば、原子力発電も再処理工場も日本の消費電力を賄う為に存在しています。
もし日本の全ての人が省エネに努め、出来る限り電力消費を抑えることができたならば、
もしかしたら原子力発電所1台分とか、あるいは再処理工場不要といったことへ一歩前進できるのかも知れない、と私は考えています。