割賦金とその割引からみる各ケータイキャリア思惑
この記事はみどウィル支に投稿する予定が、サバの調子が酷すぎてどうしても投稿できずに本家みどりうかブログに投稿した記事の再掲載です。
けーたい お題部屋 ケータイのカメラで重要なのは?(ケータイWatch6/22)
ケータイWatchのけーたいお題部屋に「ケータイのカメラで重要なのは?」というお題が上がっていたが、まぁそれはどんでもよいとして、先週のお題の「携帯の割賦販売、魅力的?」の結果が出ていたのでそこに注目。
なんと割賦販売が魅力的(そう思う)と答えたのはわずか25.5%で、魅力的ではない(そうは思わない)と答えた人が74.5%もいたんだそうな。
ただ回答総数が636とけして多くはないので、回答に至らなかった人もおるのかも知れないです。
個人的な印象を言わせてもらえば、魅力的と答えた人には割賦販売を理解している人と割賦販売に楽観的というか妄想を掛け合わせたような人が多いのに対し、魅力的ではないと答えた人には現状のインセ販売を歓迎する人と割賦販売を理解していない人が多いように感じました。
あとあれだ、『割賦』が読めない人がおることには笑った(=ω=、たしかにこれは微妙に難しくて読みがわからんかも知れん。「かっぷ」で良いはずよねたしか。
まぁそういう投票結果は結果でよいとして、、ソフトバンクモバイルの新スーパーボーナスとウィルコムのW-VALUE SELECTをず~っと見比べていて思ったんですが、この2つの販売方式ってどっちも割賦販売という意味では同じモノなのですが、その方向性というか思惑というものが随分と違うなと感じはじめました。
なんていうのかな…条件付けでの最大割引や最小支払額がとにかく目立つ新スーパーボーナスと、実際の支払額がわかりやすいW-VALUE SELECTとでも言えばいいのかな、そんな感じがするんですよね。
W-VALUE SELECTと新スーパーボーナスの違いの目に止まりやすい部分は、新規・機種変等の契約時の適用範囲の違いや支払い回数、割賦金額、割引金額などですが、よくよく見ていくとそのサービス内容の決定と言いますか方法論については2社でけっこう異なるように見受けられます。
まず割賦販売時の割引について、W-VALUE SELECTではその月の契約状況に応じて変わるのに対し、新スーパーボーナスでは購入時の端末に設定されている特別割引金額に準じるという違いがあります。
W-VALUE SELECTで端末を購入した場合にはW-VALUE割引が適用され、契約プランによって525円もしくは1050円が月々の利用料金から割引されます。主なプランではウィルコム定額プランのみでは525円、ウィルコム定額プランに各種オプションプランを契約した場合やつなぎ放題などでは1050円となります。
これはある意味当然の形です。というのも、W-VALUE割引もまたユーザーの支払う月のケータイ料金徴収から捻出されているはずだからです。
インセンティブが携帯キャリアよりもはるかに少ないウィルコムとはいえ、わずかながらも各種料金にインセンティブ相当分は含まれていると思われます。
これは言い換えるなら、高いプランを契約している場合には高い割引が設定可能だが、安いプランでは安い割引しか適用できない、ということを意味しています。
そう考えると、W-VALUE割引の割引額の条件が利用月の契約プラン毎に違うのは当然と言えます。ある意味ではインセンティブ徴収分に比例した割引をしてくれる(=長い期間利用すればそれだけ恩恵を受けられる)ということになります。
しかしこれが新スーパーボーナスでは少し状況が違うようです。
新スーパーボーナスでは、購入時の端末の種類毎に決められた特別割引額によって割引額が決められます。
極端な言い方をするならば、割賦金が高い端末ほど特別割引額も高い傾向にあり、割賦金が安い端末は特別割引額も低めになっているわけです。
しかしこの方式では、高い端末を購入した方がより高い割引が適用されることになるという現象が発生し、端末購入後のプラン次第では特別割引分もユーザーから徴収できない可能性も出てきます。
そのような事態にならぬ為に、新スーパーボーナスでの特別割引適用額は月のケータイ料金を上限とする、という条件付けがされています。
例えば912SHを新スーパーボーナス(24回)で購入すると、割賦金3280円、特別割引2200円となり、一見すると月の割賦金支払額は1080円で済むように見えます。事実店頭での表記もこれに順ずるものが多いようです。
しかし実際には月のケータイ代が特別割引の上限金額となっているため、もし月のケータイ代がホワイトプランの基本料金980円のみであれば特別割引は980円分しか適用されず、結果3280円(基本料980+割賦金3280-特別割引980)を支払わねばならなくなるわけです)。言い換えるなら、月の利用料が特別割引よりも低い場合には、月の支払いは割賦金全額相当になるわけです。
つまり新スーパーボーナスは見た目上は大きく割り引くように見えますが、実際にはそれなりの高い料金を支払っている人だけが大きな割引を受けられる仕組みとなっており、結果複雑で間接的にではありますが月の利用料に沿った割引を実現させている形となるわけです。
では目線を変えて、宣伝という意味ではどのような違いが出るでしょうか。
W-VALUE SELECTではおそらく、『月525~1050円値引』ぐらいしか料金的なアピールはできないでしょう。(というか実際その価格なのでどうしようもないのですが)
しかし新スーパーボーナスの場合には、店頭では端末にもよりますが最大2200円割引というアピールが可能です。実際には月980円分の特別割引しか受けられない人も少なくはないとしても、グレーだがウソではない辺りがミソです。
そういう意味では、実際の支払額(実質利用料+実質割賦金)が同程度になる可能性が高いにも関わらず、料金的に安さを大きくアピールできる新スーパーボーナスはある意味宣伝上手と言えるでしょう。
考えてみると、そのような良く言えば宣伝上手な手法はソフトバンクモバイルの各所に見え隠れしています。0円ばかり誇張する宣伝法などその最たるものです。
しかしそれは一歩踏み違えれば誇大広告となりかねない部分であり、事実昨年には公正取引委員会から0円ばかりを誇張したとして警告を受けたことも記憶に新しいところです。
そう考えるのであればウィルコムの方がより事実に沿った宣伝をしていると言えなくもありません。
ただ現状を見る限りでは、ウィルコムが随分みみっちい割引を始めようとしており、それに比べるとソフトバンクモバイルは太っ腹だなぁと感じる人は少なくないことでしょう。
では今度は、保証と言う部分に目線を向けたらどうなるでしょうか。
ウィルコムのW-VALUE SELECTにはW-VALUEサポート(利用料無料)という保証がついています。
年1回までという条件はありますが、破損や故障時の修理代金は全額無料、水没、全損、盗難、紛失などは良品交換費用を最大2万円までウィルコム側でサポートしてくれます。
従来の修理アシストサービスよりも手厚いサポートなる辺りはユーザーとしては願ってもないことです。
また今までW-SIM対応端末はその通信部分であるW-SIMこそが本体として認識されており、外側に当る部分(通常で言う端末部分)はウィルコムの保証対象外であったものが、今回はW-SIM端末であるAdvanced/W-ZERO3[es]がW-VALUEサポート対象となったことで、W-SIM端末としては初めて修理サポートをまともに受けられる体制となったわけです。
またW-VALUEサポートは月の利用料は無料となっていますが、これはW-VALUE SELECT=24ヶ月間使ってくれる前提ということで、実質的には利用料等からウィルコムが捻出してくれているものと思われます。
そういう意味では、ユーザーにとってのW-VALUEサポートは見えない部分での割引の意味合いも含んでおり、またキャリアにとっては2年間使ってもらえるという前提条件があるからこその手厚いサポートが可能となったと言えるでしょう。
これが新スーパーボーナスの場合にはまったく対応が異なってきます。
新スーパーボーナスでの修理サポートは「スーパー安心パック(月498円)」に含まれる形でオプションサービスとなっています。
スーパー安心パックには修理サポートだけでなく、機種変時の割引や
毎月のポイント追加、電池パックの無料サービスなどの特典が受けられるが、月498円、年5976円徴収しているのだからそれぐらいは当然と言えなくもない。
このように保証の面で言うならば、加算料金等なく手厚い保証を実現したW-VALUE SELECTに対し、分離し有料化することで手厚い保証を実現した新スーパーボーナスと言えるでしょう。
以上のように考えると、宣伝等の使い勝手に良い安く見える部分を有した新スーパーボーナスに対し、一見地味だが実際の値引やサポートを考えればかなり大きな魅力を有したW-VALUE SELECTという、個性の違う2つの割賦販売方式の姿が見えてきます。
そしてそれを作り出したモノは、おそらくはそのキャリアのユーザーに対する姿勢の違いにあると思われます。
いずれにしても、日本におけるケータイの割賦販売が是か非か、あるいはW-VALUE SELECTと新スーパーボーナスが受け入れられるかの判断については、今しばらくの時間が必要なことだけは間違いないでしょう。
ただ私個人としましては、一部だけを誇張し全体が見えないような宣伝方法だけはどのキャリアにもして欲しくないなとそう思っております。