患者の為か、病院の為か、
リンク先記事に、ドクターヘリの配備先についてのちょっとだけ詳しい流れが載ってはる。
まぁ各社各様の言い分はあるのでしょうが、事実として2つの結果があるわけよね。
1.一先ず暫定的にでも八戸市民病院に配備すれば早期に県民を助けることが可能
2.県民病院に配備すれば八戸市民病院よりも距離的に効率的な運用が可能だが配備まで時間が掛かる
ようするにとりあえずはこの2択なわけですよ。
んで前者の利点は、まずは早期にドクターヘリの運用が始まるので今まで以上に県民の命を救う可能性が増すわけです。
課題としては、県民病院よりも津軽やむつ方面が距離的に遠い分だけ搬送に時間が掛かるだろうことね。
そして後者は、位置的に青森県の中央付近に近い県民病院の方が効率的に運用できるという利点がある。
が、県民病院は肝心のヘリポートが無く、また駐車場工事の関係で早期の運用開始ができないという課題が残るわけです。
まぁどこに注目するかでもこの意味合いが違えてくるわけですが、とりあえず位置的なことはそれほどにはこだわらなくても良いと思う。
というのも、ヘリは車じゃないからです。
救急車などの車は、道路を走らねばなりません。
直線距離5kmでも搬送ルート次第では実際の走行距離は7kmにも10kmにもなったりする。しかも他の車の影響も受けることや搬送時の事故回避の為の減速や停止を考えるとさらに時間は掛かるということになるでしょう。
しかしヘリは基本的に空を飛びます、それも時速200kmである程度直線的にです。
ということは実際に運行速度にほぼ比例して距離を伸ばせるということ、1時間で200km飛べるし、15分で50km先までいけることになる。これは八戸市より最も遠いと思われる深浦町(直線距離で120kmぐらい?)へも45分以内に到着できるということを意味しています。
おまけにドクターヘリは救急車じゃありません、ドクターヘリである以上は医者と看護士が同乗しているはずです。
ではこれが県民病院だったらどうでしょうか?
というと、確かに八戸よりは距離的には効率が良いんですよね。一番遠いところで目分量で90km弱ってところでしょうか? 八戸よりも確かに位置的には良いと言えます。
これらを比較すれば、距離的な要素のみで言えば県民病院の方がドクターヘリの配備先にはふさわしいと言えます。
ただしそれは圧倒的な差があるという程のものではなく、県民病院が好ましいぐらいの表現が正しいのではないでしょうか。
さてそれでは、距離以外の問題はどうでしょうか?
気象条件で言えば、冬季の運用では明らかに八戸市民病院の方に利があると言えます。
何打かんだ言っても、青森市は雪が多いんですよ。
積雪量も問題でしょうが、降雪による視界不良でドクターヘリが飛べないことが多ければそれは軽視できない問題です。
もし青森県内全域がそうであればまぁ仕方ないのでしょうが、青森県は地域によって気象がかなり違えているわけです。
まぁそれでも多くの地域が冬場の降雪が多い中で八戸周辺だけは冬場の降雪も少なく、冬季に限って言えば八戸市民病院に配備した方が出動可能回数が多くなることが十分に見込まれる。
このことは実は軽視すべき点ではなく、距離的な少しの違いよりもむしろ重要な判断材料ではないでしょうか。
また最も大事な点は、誰の為のドクターヘリかということです。
おそらくこれについては会議に参加している全ての人が「患者の為」と答えることでしょう。
しかし冷静に考えてみましょう。
県民病院は早期の運用は出来ない。
八戸市民病院は早期運用に対応できる。
この2つの事実を前に、県民病院の方が距離的な条件が良いから運用を先延ばしにすれば良い、という理屈はどんな理由があるにしろ言ってはいけないことだと思います。
それは言い換えるなら、「県民病院にしたいから、その運用前に急病になった患者のことなんて知らない」と受け取られても不思議じゃないんですよ。仮にそう思っていなくても、暫定的にでも運用可能な方法を御破算にするんであればそういうことです。
そのような意味も含めて、まずは八戸市民病院での運用を開始し、県民病院の受け入れ態勢が整ったならばあらためて基地病院を決めればよいのですし、またその際には冬季と夏季での2つの基地局での運用もふまえて議論すれば良いだけのことです。
また「一度八戸市民病院に決めたら変更は難しい」と言う意見についても、もし変更できない程度の体制しか作れないのであれば、それこそ県民病院を基地局にする理由が乏しいと言うことになるでしょう。
専門家には専門家だからこそ見える部分があると思います。
またそれぞれの属する機関、属する地域に絡んだ思いもけして0とはいかないでしょう。
しかし会議に参加している各人には、患者の為のドクターヘリなのか、病院の為のドクターヘリなのかについて、結論からの議論ではなく自分以外の意見にも耳を傾ける姿勢をもってもらいたいなとそう思わずにはいられません。
正しい判断を願いたいものです。
ちなみに、
県の事務担当者が「県民病院では物理的に整備ができない」と言ったことに対する弘大の奥村謙教授の「最初から、結論ありきではないか」との発言は勘違いだと思います。
結論ありきってのは、最初から答えが出ていることです。
事実として不可能なことは、選択肢が削がれるということでしかありません。
車を運転していたら不注意で事故を起こして車が動かなくなった。
それは事実として動かなくなったのであって、最初から動かないと決め込んでいるわけではない。事実に即して移動手段が奪われたり、何かの機会を逃したりするだけのこと。
自分の意見を大事にする姿勢は良いとは思いますが、その辺りを混同しちゃうと某携帯キャリアの社長みたいに周りに思われちゃいますよ。
▼参考リンク▼
着地点かすむ ドクターヘリ(Web東奥・連載)
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お偉いさんのへ理屈好きには、ただただ呆れるばかりで・・・。
千葉県では、ドクターヘリの配置場所が千葉市でなく、印旛村にある大きな病院なんですよ。