なるほどたしかに『少子高齢化』ね。
リンク先記事は上越市の朝日池で外来魚駆除目的での地引き網漁を行ったという内容。
その記事の中の滋賀県・琵琶湖博物館の中井克樹学芸員の「稚魚や卵が外来魚に食べられ、コイの“少子高齢化”が進んでいる」という発言がとても気になった。
現在のブラックバスやブルーギルによる外来魚問題は、正に在来魚が少子高齢化になっているという点です。
コイなどの在来魚は同サイズであればブラックバスにも負けません。コイはけっこう何でも食べるので、自分より小さなブラックバスなどをコイが食することも珍しくはないでしょう。
ただ問題は雑食のコイに対してブラックバスやブルーギルは肉食、しかも魚食魚である点と、コイなどの在来魚と違ってブラックバスやブルーギルはある程度の子育てをする魚である点です。
人間はいうに及ばず、ほとんどの哺乳類と鳥類は子育てをします。これは親が子の面倒を見ることで生存率を上げ、少なく生むが確実に育てるという方法をとっているからです。
しかし魚類、両生類、爬虫類のほとんどは、子育てをしないので生存率は低いが、その代わりにたくさん卵を生むという方法で生存競争をしているからです。
これは日本の在来魚も同じで、基本的に生んだらもう知らん振りです。下手すりゃ自分で卵や稚魚を食べてしまいます。
ところがブラックバスやブルーギルは子育てをします。それは彼らのもともとの環境下では卵を生みっぱなしでは子孫を残せないからです。
ではそんなブラックバスやブルーギルを日本の魚と一緒にすればどうなるか?
ブラックバスは大きな口に入る生き物は何でも食べようとします。そしてコイと違って、水草や植物プランクトンなどを食べる事はしません。
ブルーギルなんかは卵が大好きで、他の魚の卵を食べまくってしまいます。
そしてブラックバスもブルーギルも、自分の生んだ卵を守ろうとします。
すると在来魚は大きな個体のみが残って小さな個体が極端に少なくなり、結果的に『少子高齢化』になると言うわけです。
リンク先記事の内容的にはよくあるものなのですが、この『少子高齢化』というのがうまいこと在来魚の現状をとらえている言葉だなと、そう思った次第です。