でもボーダフォンは音声定額してるよ?という辺りの話
この記事はみどウィル支に投稿した記事の再掲載です。
つい先ほど「ドコモとauも音声定額ってホント!?」をUPしたのですが、忘れてたことが1つあった。
それはボーダフォンの存在。
ちょこっちそれを話しておこうかなと。
ボーダフォンと言えば3つの定額を打ち出しています。
1つはパケット定額制の「デュアルパケット定額」、
1つはメールが使い放題になる「メール定額」、
1つは家族間の音声が使い放題になる「家族通話定額」、
この3つです。
今回は音声定額をとりあげるのですが、他の定額もさらっとだけ触れます。
デュアルパケット定額は俗にいうダブル定額です。
詳しくはこちらを見てもらうとわかるように、合計料金としてはドコモより安くauと同じぐらいといったぐらいのサービスです。
メール定額は、ユーザーには申しわけないが料金的に高いサービス。
「月額800円(税込840円)で他社ケータイにもパソコンにもメールし放題なのはボーダフォンだけ!」とありますが、実際には既にウィルコムで実現しているサービス。
オプションメール放題(税込525円)が2002年9月から導入されており、またウィルコム定額プランの場合は基本料金にメール放題も含まれています。何も入ってなくてもメール自動受信なら受信料無料。
ということで失礼ですが高い料金設定だと言えるのです。
まぁそこいらはおいといて、
ボーダフォンは現在お試し期間中ではありますが、家族間での音声定額サービスを実施しております。
11/1からは正式サービスとなり、わずか315円で家族と通話し放題になります。
これらはドコモやauが導入予定のPTTとは違って、普通の電話サービスの音声定額となっております。
でもおかしいですよね、ドコモやauでは実現不可能なのに、どうしてボーダフォンでは音声定額が実現できたのでしょうか?
実はそこには、ボーダフォンの切実な事情が隔されているのです。
まずは技術的なことから。
Q.どうして携帯では音声定額ができないとされているか?
A.定額にするとお金が儲からないし、しかもあまり通話されるとつながり難くなって困るから。
これが基本的なことです。
携帯でもPHSでも、ケータイはアンテナが在って初めて電波が届きます。
そのアンテナからはNTTの基地局などに繋がっていて、そこでNTTグループの回線などを通して相手先の方に繋がっていきます。
すると当然、使用料をNTT関係の会社にとられるわけです。
つまりケータイが繋がるように維持するだけでもお金が掛かるし、通話されたらされたで何かとお金が掛かる、これが基本です。
だから儲からないと支払いが辛いので音声定額などとんでもない、というのが理由の1つ。
ちなみにウィルコムでは、NTTグループのお世話にならない独自のバックボーンに移行しようとしています。だから音声定額ができるわけでして、それをできるだけ早く提供しようとバックボーンが整わないうちに前倒しで音声定額しちゃってます。
もう1つがアンテナの問題、アンテナの問題でたくさん通話されると困るんです。
携帯のアンテナは1本で広範囲をカバーするようにできています。まぁ軽く2kmぐらい電波届くイメージです。
では音声定額を実現しているウィルコムのPHSはと言うと、PHSとしてはかなり強い電波を出していますが、それでも通常500mぐらいしか電波が届きません。
到達距離にして4分の1、つまり携帯と同じエリアをカバーするには軽く10倍以上アンテナを建てる必要があるわけです。
しかしそれが逆に携帯の音声定額を阻んでいます。
エリア内に携帯とPHSのユーザーが同じ数いたとしたら、アンテナ1本辺りのアクセスは携帯はPHSの10倍以上集中するわけです。
しかしアンテナにも繋げる限界はあるので、当然繋がらないユーザーは携帯の方が出てきやすいと。
しかも携帯ユーザーはPHSユーザーの約20倍います。とするとアンテナの同時接続数が同じならば単純計算でPHSの200倍(10×20)の競争率で携帯ユーザーはアンテナを奪い合う、ということになるわけです。
コンサートとかイベントとかで携帯がつながり難いのはこの為です。ウィルコムはまず繋がる。
こういう状況なのに音声定額などしてしまったら、もはや回線はパンク状態になって繋がらない状態が頻発するので、音声定額はできない、という話になるんすね。
じゃあアンテナをたくさん建てればいいのか?という話になるのですが、まぁその通りです。
ただPHSのモノより遥かに高い携帯向けアンテナをたくさん建てるのは負担が大きいですし、また携帯のアンテナは簡単に建てられない事情があるので、集中してたくさん建てたくても建てられないのが現実です。
このような理由によって、携帯電話は現状音声定額は不可能である、と言えるのです。だからこそドコモやauは負担等の少ないPTTの導入を検討しているわけです。
ではこのような技術的また制約的な理由があるのに、何故ボーダフォンは音声定額を実現できているのでしょう?
それはとても狭い範囲でのみの適用だからです。
ボーダフォンで音声定額になるのは、同じボーダフォンに加入していてかつ家族割引等にも契約をしている家族のみです。
でも家族間で話をする時、そんなに頻繁に電話を掛けるでしょうか?
とりあえずおらはそういうことありません。用事を伝えて切るぐらいで、長々と相談したり何気ない会話を楽しんだりはしません。直接会って話せば済みます。
人のよって事情は様々でしょうが、友人や恋人に比べれば家族と電話で話すようなケースはそれほど多くはないと思われます。
しかも相手先は4つしかありません。回線への影響もそれほど多くはないでしょう。
こういった理由で、ボーダフォンはそれほどリスクを侵さず、また負担も負わずに行える範囲の「音声定額」を提示しているのが「家族音声定額」です。
またこのサービスを多く利用されれば、当然ボーダフォンは赤字になります。
ですがこのサービスを全面に押し出す事で家族の囲い込みを優先し、ボーダフォンの純減を止めたい、というのが本音ではないでしょうか?
ボーダフォンはユーザーアピールの為に身を削って家族定額をしています。
ドコモはユーザーによいイメージを植え付けるかのように、音声定額とは名ばかりのサービスを始める可能性が高いです。
auは新しいコミュニケーションツールという触れ込みで、PTTをドコモとは違う形で提供しようとしています。
そしてウィルコムは、技術的にも経済的にもちゃんとサービスが続けられる地盤を作った上で、音声定額サービスを高品質で提供しております。
そこいら辺の事情を知った上で各社のCMを見るとけっこう面白いものがありますぞい。
何処とは言わんが客寄せパンダがいっぱい(=ω=。