アトムやドラえもんの未来都市は決して実現できない

おらはですね、悪人よりも悪意のない自称普通の人が大嫌いです。
その中でも一番嫌いなのは、知らないことを当然だという人です。

知らないことを罪だとは思いませんよ。知らないことなんて幾らでもある、世界の全てを知ることは実際には不可能ですから。
でも知ろうとしないことは罪だと思います。
何を言っているかというと、十鉄存廃問題で安易に「ライトレールにすれば全て解決する」や「鉄道を廃止してバスの為に市街地の道路を全部拡張すればいい」とか言うひとが嫌だと言っているんです。

ライトレールだろうがバス用の道路だろうが、それにいくら掛かると思っているんですか?
十鉄の鉄道の5億円程度じゃ済まないでしょうさ。10億、20億、あるいはそれ以上掛かっても不思議じゃないです。ライトレールを新たに敷地を買収して道路を拡張してって、何億掛かるんですか?バス専用だって然り、十和田市の市街地のバス路線の全てを拡張していたら、どれだけのお金が必要になるんですか?
それはね、100万円の車を「ちょっと今は買えないなぁ」と言っている人に、「じゃあこちらの500万円の車を買えば大丈夫ですよ、だって燃費がいいですから」って言っているようなもんです。そんなおいしい部分だけチョイスして他の問題を蔑ろにするのはね、ただの妄論でしかない。

そのことをタイトルで言っているんです。

 
鉄腕アトムの未来世界、あるいはドラえもんの22世紀、もしくは昔よく子供向けの本などに描かれた未来の都市なんかはね、実現などしないんです。
何故なら、今ある建物などを全て壊して全部作り変えるのは高くついて現実的じゃないから。
だから日本全国津々浦々が全て超高層ビルになってビルの間をチューブがつないでその中を乗り物が行き来している都市なんて、普通はできないんですよ。だって今ある建物でもそれなりに暮らせるし、壊すのだってお金がかかるから。

しかし例外がある。

何らかの理由で都市が壊滅状態になれば、新しい建物や乗り物は比較的作りやすい環境になります。それは不幸な現実から立ち上がろうとした結果、昔の街並みの再現ではなく、そうなった原因に対して強い街をその時点での技術で創り上げようとした結果に実現できる、という話。
しかもその為には、財源がある、あるいは回収できる見込みがある場合のみです。

だから地球上全てが未来都市になるなんてありえない。そこまで人類が溢れたらもう地球には住んでいられないでしょうさ。

さて話を戻して、

もしね、何も無い土地に新たに街…建物、交通、通信などを創り上げるのだとしたら、まぁ可能かもしれないよね。公共交通機関はライトレール、全世帯には光通信は当たり前で、全エリアで全キャリアが通信可能、公衆無線LANも当たり前で公衆端末もいたるところにあり特に自分で持たずとも通信も交通も困らない未来都市、まぁ出来なくはないでしょうさ。どこから金が出てくるのか知らないが。

でも既にある都市で、それも日本の人口の約1%しかいない青森県の、そのうちの1割ぐらいしか人がいない地域で、自治体が崩壊するほどの災害があったわけでもなくライトレールなりなんなりで代替って、小学生でもありえないって分かるはずです。

それは、ハイブリッドやEVの方がいいだろうと理解しても実際には全ての人がそれらの車に買い換えられないことと同じ理由、理想だけでなく現実がつきまとうからなんですよ。

にも関わらずにライトレールさえ導入すれば万事解決みたいないいとこだけをチョイスしてさも正解のように吐き捨てる人がいること、そこに嫌気がさすんですよ。

そりゃね、ライトレールが出来ればいいかも知れないよ。
でも14.7kmもライトレールを作って、そのお金は誰が負担するの?
十鉄の鉄道が今回の支援を要請した5億円なりを沿線市町村住民(10万人超?)が等分したら月500円弱ぐらいかも知れないが、ライトレールにしたらその10倍とか必要になるわけだよ。
そこを考えたら無責任にライトレールさえ作ればイイって話は出ないはずだ、それでも押すならざっくりでもいいから建設・運営プランまで出せって話だがそれも出さずに美味しいとこだけをアピール、詐欺師の手法と大差ないわけさね。

十鉄鉄道存廃に関する問題の本質は、実はどんな交通機関にするかではなく、そこに現在の利用者の声が不在で形ばかりの話し合いのふりだけが存在している部分です。

そこを取り違えた人の声ばかりが目立って、実際の利用者である学生の声、そしてその学生への説明が不十分であることにいらだちを覚えますな。

ちなみに、ドラえもんの未来都市は実現しないと思いますが(全面核戦争で地球上のほとんどが荒野になってそこから再度文明をもり立てるでもしない限りね)、未来道具は既に実現しております。
ケータイ然り、テレビ電話然り、GPSや拡張現実なんかもそうですね。ある意味新しい建材や今時の車なんかも未来の道具だ。
でもそれらもまた無ければ新しく作り上げるが、在るものについてはそれを活かして導入するわけです。
その辺りを間違った意味でのライトレール至上主義者の人には理解して欲しいもんですな。

▼参考リンク▼
十鉄廃線必至の情勢 3市町支援拒否を回答(YOMIURI ONLINE 10/4)
存続「非常に難しい」(asahi.com10/4)
「これまで通り通学できるか」と不安の声(デーリー東北10/4)

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