80cmはさすがにありえないべ

アカミミガメ 生態系壊す巨大な新顔(Sankei WEB 山梨 6/18)

リンク先記事で、体長80cmとみられるアカミミガメのことが載ってはった…いやいや80cmはさすがにありえないべ(=ω=A;;;

まぁアカミミガメが日本の河川にいることは関東などではもはや珍しくないので問題ない。
泳ぐのも当たり前、アカミミガメの仲間は水かきもあるので泳ぎが得意。
首にミミのような赤い模様があるのも成体になると獰猛なこともアカミミガメの仲間の特長ね。

でも80cmはあろうかというアカミミガメは今まで世界中のどこでも確認されていないわけです。
ミドリガメとしてよく流通しているミシシッピアカミミガメでも最大30cm弱、アカミミガメの仲間には大きくなる個体もいるというがそれでも60cm、80cmというと最大級のカミツキガメを大きく上回り、それこそウミガメの成体ぐらいのサイズのばかデカい個体になります。

リンク先記事では「マガモよりもはるかに大きい」とあるが、この記述もちょっとおかしい気がする。
マガモはいちおう体長60cmになる鳥ではあるが、カモのような首が長めの鳥の場合には首を伸ばした状態が体長となるため、普通に泳いでいる状態ではせいぜい40~50cm程度の全長しかなくなる。
だからマガモよりも大きいと言ってもせいぜい60cm程度が関の山のように感じる。もしそのカモがマガモでなくもっと小型のものであれば尚更ね。
また泳いでいるカメは甲羅と頭が見える程度で実際の大きさはわかりづらい。遠目では波紋と影の区別をつけるのも難しいだろうし、潜ることも集団でいることもあるアカミミガメでは単体か複数個体かの見間違えもあるだろう。
正直泳いでいるカメを泳いでいるカモと比較して大きさを推測するのは、なかなか難しいものがあると言える。

まぁそれでもはるかに大きいというのだから80cmもありえそうな気もしないでもない、というかそう思い込んでみる。。
しかしカメというものはヘビやウナギのように細長いわけではない。体長80cmのアカミミガメなら、幅も少なく見積もっても60cm程度はあっておかしくはない。
もし縦80cm横60cmの物体が泳いでいれば、マガモよりもはるかに大きいどころかマガモの何倍も巨大な存在となる。よくある直径60cmのマンホールのフタよりもでかい甲羅が浮かんでいる状態ですからね、上にマガモが5~6匹乗れるかも知れないぐらいの広さね。

このように考えると、体長80cmがとんでもない大きさであると認識できる。
なにせあの大きくて凶暴と言われるカミツキガメですら最大でも50cm超えるぐらいって話ですから。

ただこれは生物を飼っている人にはある意味納得のいく話です。
動いている生物の体長を目測することは難しく、また対象が水面下にあったりすると大きさが違えて見えるものだからです。

まぁ想像になりますが、おそらくアカミミガメを見て予想以上の大きさにビックリしたんでしょうね。
んでカモがいたことを覚えていてあとでカモの体長などを調べて80cmはあったのではないかと思い込んだという辺りなのではないでしょうか。
外来生物問題を扱うのは悪くないとは思いますが、あまりにもな感じの記事にはどうかと思います。もし本当なら大発見ですけどね。

と、何で長々こういう否定をするかというとあれです、恐怖を煽るような記事はやめて欲しいからなんですよね。

まぁ正直言って、アカミミガメの仲間は大人になると気が荒いです。サイズや噛み付く力が違うだけで、カミツキガメ同様に人を威嚇して攻撃をしかけますから。
また急激に成長するんすよね、かわいいミドリガメの時期は短くてどんどんデカくなって黒くなって飼い主にも攻撃するようになる。
さらには日本の自然にも順応し、安易に密放流された固体が日本の自然下で繁殖し、在来種の生息を脅かしているのも事実。

だからそういう意味で、アカミミガメなどが日本の在来種であるイシガメやクサガメの生活の場を奪っていることは大いに報道して欲しいし、多くの人にその事実を知ってもらって最後まで飼いきる覚悟がない人は生物を飼わないで欲しいとさえ思う。

ただある程度の大きさまで成長すれば成長速度は遅くなるし、カモより巨大になることもありえない。まぁハイブリッドや地域亜種などを考えると可能性を全否定はしないが、通常日本でミドリガメとして売られているのはミシシッピアカミミガメなので可能性はほぼ0。
という点も正しく知っておいて欲しい。

外来生物問題はその切り口次第でいろんな見方ができるんだけれども、加害者と被害者がハッキリしているものがあります。
加害者の中には人間が必ず含まれ、そして被害者には外来種の影響を受ける在来種だけではなく、見ず知らずの土地に釣れてこられた上で飼育放棄され密放流された外来種も含まれるのです。

リンク先記事では随分と誇張して書いてある部分がありますが、実際はもっと単純なことです。
生物を飼っている人はその生物と子孫の命が終わるまで責任をもって飼育するべきだし、もし飼いきれなくなったら里親を探すかショップなどに引き取ってもらうよう尽力すべきであるし、それすら適わぬならば責任を持って殺処分するぐらいの覚悟をもつべきなのです。

昨今は安価に簡単に生物を買い、また機器の発達により簡単に飼うことができます。
しかしその生物が飼い主の心を癒すよりどころとなるのか、あるいは社会や自然を破壊する嫌われ者となるのか、その選択権は全て飼育者に握られていると言うこと、それを忘れないことだと思います。

あとやっぱり80cmはさすがにありえないべ(=ω=←しつこい

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