肉食について~イルカから考える人の食文化~ その6 心と命
今まで6回に渡って、イルカと食文化について考えてきました。
序章のその0から始まり、イルカ漁は虐待なのか、イルカ漁の問題点、高等生物とは何か、畜産生物としての適性と、いろいろな目線から掘り下げてきたつもりです。
最終回としての今回はそのまとめとして、心と命を取り上げたいと思います。
イルカには心があるのでしょうか?
おそらく心はあるはずです、”おそらく”と言ったのは私がイルカではないからです。
心無い言い方にも聞こえるでしょうが、自分以外の存在に心があるかどうかなんて実のところはわかりません。ただ自分に心があると感じ、周りの人にもそのようなものがあるだろうと感じ、動物などにもそれらを感じるだけです。
これは言い換えるなら、自分以外には自分と同じ様な心は存在しないかも知れない、ということです。
もちろん自分の心は自分だけのものですが、同じ様な考え感性といった意味で言えば、自分以外の存在を完全に理解することなどまず在り得ないからです。
でもイルカには心があるはずです、私はあると思っています。
それは、イルカの行動などからも類推できます。
イルカなどの鯨類の多くは一般に、高い知能と愛情に満ち溢れていると言います。
仲間が陸に打ち上げられたり流氷に囲まれたりすれば危険を顧みずその場に留まったり、死んだ仲間のそばをいつまでも離れなかったりすることからも心の存在は認められることでしょう。
これはイルカだけでなく、ゾウやサルなどの高等哺乳類によくある行為です。
彼ら程の知能があれば生き物が生きているか死んでいるかは容易に判断できるはずです。
でもなまじ心が豊かなばかりに、それを受け入れられずにいるだろうことは想像に難くはありません。
故に、イルカやクジラにも心があるだろうことは間違いないことなのだと思うのです。
では彼等は、人間と同じ様な心をもった生き物なのでしょうか?
結論を先に言うならば、彼等は人間とは違う心をもった生き物だと言えます。
私たち人間と呼ばれる存在でさえ、様々な思想、価値観、方法論をもっており、その心は一様ではありません。
それが違う生き物となれば、むしろ心が違っていないことの方が不自然にさえ思えます。
寂しい話ですが、私達がイルカの心を完全に理解することは先ずありえないのです。
そしてそれはイルカに限らず、他の多くの生き物に言えることなのです。
でも私達は生きており、イルカたちもまた生きています。
そして生きるという事は、他者を捕獲し食べるということでもあります。
人は多くの生き物を捕らえあるいは育てて、殺して加工し食して生きています。
イルカも同様に、海の多くの命を喰らって生きています。
生きるという事は、周りの命を喰らうと言うことでもあるのです。
そこでは当然のように、多くの生き物が嘆き哀しみ生きたいと願いながら死んでいく現実があります。
牛や豚は泣きながら生に執着し、鶏はなんとか逃げようと抵抗を試みる。
あるいはイルカに捕えられ飲み込まれた魚もイルカの胃の中で、絶望と恐怖に襲われながら必死に抵抗しようとしているのかも知れない。
それは一見すれば、可哀想な行為にも受け取れます。
しかしそれは心無い殺戮ではなく、生きていくということです。
生き物が生きるために他者を捕食することは、命をつなげることでもあるのです。
けれども一部の人は、それにも異を唱えます。
イルカは野生動物だから仕方ないが、高等生物たる人間はそのようなことをしてはいけない、とのようなことです。
たしかに、人はイルカなどを食さずとも生きていけます。
それどころか、肉を食わずとも生きていくことは可能でしょう。
人類の全てが肉食をやめ菜食のみにすれば、今よりも遥かに効率的な食の需給が可能かも知れません。
でもそれは、ほぼ不可能な話です。
私達は肉の味を知っているからです。
一度でも肉の味を知ってしまえば、まったく肉を食わずにいることは難しいことです。
もちろんそれには個人差があり肉を食わずとも平気な人もおるのですが、それを万人に求めることは不可能です。
唯一追い詰められることを除いては、です。
人は悲しいことに、ぜいたくをやめられない生き物です。
生きることで必死な時代にはもったいなく思っていたことも、裕福になればなるほどに浪費を楽しみだします。
三欲だけならいざ知らず、その他のことに至るまでがそうである、人は卑しい生き物なのです。
それはおそらく、石油が枯渇し自然が消え去り人類が困窮するその直前まで続くのではないでしょうか…
でもそれが、現在の人間の心と命、そのものなのかも知れません。
良くも悪しくも、人は地上に大きな影響を与え得る存在になっています。
一連のイルカ問題も考えるべき重要な問題だと思いますが、人にはそれ以前にやるべき問題が山積されています。
誰かが捨てたポリ袋が風に運ばれ海に漂い、それを食べたイルカが胃袋をビニールで満たし死んでいる現状があります…今すべきことはそういうことを止めることではないか、私はそう考えるのです。
終
▼イルカシリーズ▼
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その0
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その1 イルカ漁は虐待行為か
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その2 イルカ漁の問題点とその方向性
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その3 続・イルカ漁の問題点とその方向性
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その4 高等生物とは何か
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その5 イルカの畜産生物としての適性について
肉食について~イルカから考える人の食文化~ その6 心と命
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初めまして。検索エンジンから参りました。よろしくお願いします。イルカシリーズ全部拝見したわけではありませんが、多分考え方に共通点があると思います。イルカの血まみれの写真は、釣り人にとってはそれほどでもないというご意見には納得しました。実はある動物愛護団体の会員なんですが、数年前、会が捕鯨反対を打ち出した時、しつこく反論したことがあります。反対派の中には、やはり肉食全面禁止の目標を掲げる人もいますね。理想を高く掲げるのは悪いことではないとも思うのですが・・・。こういった問題は様々な意見が入り乱れていて、私はどうも整理しきれていません。今日は時間切れですので、また後日。それでは失礼いたします。
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イルカに限らず生き物の問題って難しいですね。
まぁいろいろ話し出すときりがないのですが…
とりあえず私見ですが、おらは捕鯨賛成派です。
だって小さい頃普通に食ってた、すまんが当たり前の食材。
今年9月に久しぶりに食う機会あったが、やっぱり美味い!おら大好き!!あれは他の肉では出ない味わいよ。
できれば捕鯨反対派の人に是非食ってもらいたいです。
まぁ「かわいそうで食べられない(p_q」って人も当然おるでしょうが、おら思うに生き物って食われる為に命を奪われるならそんなには化けて出ないと思うのよ。
だってさ、動物をいぢめただの車でひき殺しただので化けて出るとかの話はあってもさ、肉になった動物が「よくも食ったな~」って化けて出た話は聞きませんから。
おらに言わせれば、ちゃんと食べてあげる事が一番の供養に思うンすよ。だってその為に命を摘んで食肉にしているのだから。
まぁこんな自称普通の人の考えとはズレてるおいらですが、もしよかったらまたコメントください。
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そちらはもう雪でしょうか。お返事ありがとうございま
す。鯨肉は確か竜田揚げみたいな時がおいしかったの
と、歯にはさまって困った記憶とがありますね。食われ
て成仏というのは、どこかで聞いた覚えがあります。
イルカシリーズは全部保存して拝見しました。大筋で賛
成です。私の知らないことがずいぶんとありました。例え
ば家畜の条件のようなことです。マッタンツァは私も見て
いました。
「高等動物だから、殺すな」という意見に対する私の反
論には、りうかさんとは少々異質の部分があるようです
ので、ここでご紹介させて頂きます。すべて同じではお
もしろくないですから。
人間にも色々な点で優れた人と劣った人がいます。だか
らと言って、人間の価値に差があるわけではありません。
それと同じで、高等動物と下等動物がいるとしても、命
の価値は同じだと思っています。どの命も大切なはずです。
高等だから殺すな、ということは、下等だから殺しても
いいということになります。生き物に序列をつけ差別する
ことにつながります。命の軽視にもなりかねません。それ
が万一人間に当てはめられると、という想像は行き過ぎ
でしょうか。
それにそもそも高等、下等というのは一部の人間が決
めたことで、本来生き物に高等も下等もないかもしれな
いとも思っています。要は人間に近いものほど高等とい
うことなんでしょうが、人間なんてひょっとすると最下等
の生き物かもしれませんし。
ということで、高等であることは、殺すなという主張の
根拠にはならないというわけです。
もっとも、その主張は心情的には理解できます。人間
に近いものほど殺すのに抵抗がありますからね。魚を
殺すのをかわいそうと思う人でも、貝を殺すのにはさほ
ど抵抗を感じないでしょう。貝は人間には全く似ていま
せんから。しかし、その主張はあくまで「趣味」「好み」と
いった次元のもので、他人に対する強制力までももつ
とは思えません。主張するのはいいでしょうが、非難し
たり、圧力をかけたりする大義名分はないというわけで
すね。
以上です。使えそうな部分がありましたら、どうぞお使
いください。長々失礼しました。それではまた。
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このような話題は難しいことや反論があるだろうこと、その他いろいろな理由があってなかなかレスがつかなかったので長文とてもうれしいです。
ありがとうございます。
高等下等の考えについて、なるほどと思いました。
元々私も「高等だから殺すな」論には矛盾を感じていたんです。
ただ今回はそういう観念を出したくなかったので(変な意味での混乱を招きたくなかったので)、自分で意識して冷徹に書くようにしてました。
だから思いもよらずこのようなコメントをいただき、とてもうれしかったです。
また何か思う処があれば、イルカではないかも知れませんが取り上げたいと思っています。
その際にはまた是非御意見御感想を下さい。
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あけましておめでとうございます。
実はこの問題については、まだ書きたいことがあったのですが、どうしても時間がとれずに年が明けてしまいました。もうしばらくしましたら、お邪魔しますので、その時はよろしくお願いします。
なお、私のHPでも、出来は余りよくありませんが、生命に関する短文などを載せておりますので、万一お暇な時には一度お遊びにお出でくださいませ。
それでは2006年がりうかさんにとって良い年となりますよう。
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今年もよろしくおねがいします。
さて、未だ風邪が癒えません(;~;
昨日ほぼよくなった気がしたんですが、いきなり声が出なくなりまた咳が頻発息が苦しい…
それでも今朝起きたら息も楽だったのでふいに降った大雪の雪かた付けをしていたらまた…
なんだかんだでエンドレス風邪を満喫しています(;~;~;
こんな学習しない管理人ですが、また是非ご意見お寄せ下さい。
長文歓迎です。
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ごぶさたしております。やっと暇になりました。風邪は治りましたか。
前回書きそびれたのは次のようなことです。りうかさんの上記の文章を拝
見して感じたことです。肉食賛成派と反対派の議論は、単純化すると次のよ
うになるのかもしれません。
肉食の廃止は不可能だ。人間はそんな克己心のある生き物じゃない。肉食
が殺人のような悪であるわけでもない。肉食を廃止するためには、権力や法
律などで強制するしかない。そんな世の中なら滅んでしまった方がいい。
肉食の廃止は可能だ。人間は進歩向上するのだ。努力しなければ何も始ま
らない。それに肉食をやめた方が環境にもいい。どんな運動でも一人から始
まるのだ。ひょっとすると、遠い将来に肉食は廃止できるかもしれない。あ
るいは廃止を早められるかもしれない。
私は肉食容認(私個人は、なければないで何とかやっていくタイプ)です
が、こういう人間観なども関わってくると、どちらかが正しいという結論は
出ないのかもしれません。ですから、肉食賛成派も反対派も末永く、ただし
仲良く紳士的に議論していってもらいたいと思っています。
お粗末でした。それでは。
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おかげさまで風邪はすっかり治って、ある意味また流行を逃した感を得ております。
なんて言いますか…あれよね、
肉って美味いのよね。
肉が嫌いな人もいなくはないのですが、基本的に肉とか脂とかは人間の味覚に訴えてくるわけです。
高カロリー高タンパク栄養効率いいぞー!と快感を覚えるわけです。
まぁそういう基本的欲求に関わるものはね、なかなか制御できない部分があるわけでして…それこそ食糧危機とか戦争とか大災害とかにならんと抑制が効かない部分でもあります。またあるいは、そういう飽食だからこそに「かわいそう」だとか「野蛮だ」とかいうこともできるわけです。
極端に言い換えるなら、今日喰わねば飢え死にするかも知れないって時に目の前に打ち上げられて弱っているイルカとかいたら、そりゃ喰っちゃいますたいていは。
だって生きるってそういうことですから。
だからある意味、贅沢が故の悩みなのかも知れないな、と思う部分もあるのです。
まぁ肉食家と菜食主義者の話に限らず、大切なのは自分の意見も持ちつつ相手の意見を否定から入らずに考えることよね。
だってさ、何にしても自分に意見がくるってことは、少なくともそう思われるだけの何かがあるってことだから。まぁたまには明らかな勘違いや思い込みってのもあるけど、たいていは納得いかずとも一理あるって部分があるわけです。
そこを全否定せずにいくこと、それが大事ではないかと思うんすよね。
…なんかまるでついさっきのコメントの事を思いだしているかのような発言してしまっただすな(=ω=A;
まぁそれも冷静に捉えれば削除されているという事実から「何らかの削除される理由がある」という考えになるはずなんすけどね…とここで言ってみる。
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お返事、どうも。そちらは花粉症の季節はこれからでしょうか。
>まぁそういう基本的欲求に関わるものはね、なかなか制御できない部分が
>あるわけでして…
まあ、そうでしょうね。多分そういう人の方が厳しく自己を律する人より
ずっと多いでしょう。世の中っていうのはそういう「普通」の人で出来上が
っていますから、国づくりみたいなものも、それを基準にするしかないかな
と思います。
>食糧危機とか戦争とか大災害とか
先日放送されたNHKの今後100年の気象予測を見ますと、どうやら私
の生きているうちに食糧危機の前兆ぐらいはひしひしと感じられるようにな
るみたいですね。今はまだ危機はアフリカを中心としているので、余り報道
されませんけど。
>大切なのは自分の意見も持ちつつ相手の意見を否定から入らずに考えるこ
>とよね。
同感です。イスラム教徒を挑発するキリスト教徒も、暴力で抗議するイス
ラム教徒も、見ているだけで力が抜けてきます。
ところで、最近は大津市のサルの駆除の問題がテレビでも取り上げられて
います。当然私の所属する団体は猛反対なんですが、確かに原因は人間がつ
くったのですが、狂暴化して今にも人が怪我をさせられそうな状況なので、
緊急措置として駆除もやむを得ないんじゃないかと思っておりますが・・・。
話は変わりますが、『国家の品格』はお読みになりましたか。それではま
た。お元気で。
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返信の気分で記事書いたはいいがこっちにコメントするの忘れてたすまんすm(__)m
http://midoriuka.blog33.fc2.com/blog-entry-1236.html
↑こちらなんすが…まぁちょっち違うサルだけどね、
地元青森の北限のサルの場合、地元テレビで報道されることも多いぐらい深刻だったりします。
まぁ駆除効果とかで今年はあまりないらしいが、それでもやはり問題ザルおって駆除されることになっただ。
とどのつまりあれよね、言っちゃ悪いが地元民は生活かかってるからのう。
文句ある人は是非寄付なり集めて飼って欲しい、こっちも好きで駆除するわけじゃないからのう。
というのがおらの意見だったりします。
正直なところ、荻野さんからコメントもらってよかったと近頃改めて思うだ。
その前はやはり「某ミドリマメ(仮名)のボートが捕鯨船にアタックして人が飛び込んだー!!」みたいなイメージ強かったです。
でも参加している人にもやはりいろんなスタンスの人がおるだろうことを知り、そういう人がおる限りは紆余曲折があってもいろんな問題が解決に向けて前進していくのではと思ってます。
…バス釣り師ではそういう人おらんのかな?( ̄~ ̄;
一応アクアリストは密放流する人を身内(本当は似非アクアリストと思っているが)の恥として思っている人多いのですが…どうなんだべね。